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国王様の護衛はお任せ下さい(3)

【今回の登場人物】

ムツキ…"旅のしっぽ"の共同出店者

ミツカ・ヨツカ…レイク村で宿屋を経営する姉妹

「「ひぎゃぁぁー!!」」


 さすがに国王様の電撃訪問は刺激が強すぎたみたいで、ミツカとヨツカは奇声をあげてオロオロと落ち着かなくなってしまった。


「ちょっと落ち着いて、大丈夫だから」


「「これが落ち着ける訳ないじゃないですか!!」」


「ひとまず昼食を人数分お願いできないかな……」


「で、でもこんな田舎の宿の料理を国王様にお出しするなんて」


「いや、ヨツカの料理は美味しいから自信持っていいと思うよ。それに国王様も二人が思っている程気難しい人でも無いし」


 この村にはまともな食事ができる場所も少なく、どうせ今から他へ移動しても同じような反応になってしまう事は目に見えている。二人は観念したのか渋々承諾してくれた……いや承諾せざるを得なかった。


 いくら突然とは言え国王様に食事を出さないなんて選択肢はどう考えても無い。二人ともごめんねと俺は心の中で小さく呟いた。


「じゃあ、俺はラフロさんの所へ経緯の報告に行って来るよ。きっと気になっていると思うし、あとこれから隣国との話し合いが行われる事も伝えなきゃ」


「それなら私が行って来ますよっ」


 今回は食事休憩が終わった後ここからまだ四時間ぐらい運転しなければいけない。気を使ってくれたのか「シュウ君は宿で休んでてっ」とミスズが詰所へと出向き説明に行ってくれる事になった。


 早くハイウルフに連れ去られたという家族を見つけてあげたいけど、今回行う隣国との話し合いの結果によっては更に長引いてしまうかもしれない。


「そういえばムツキはどこへ?」


 バスが到着したあと最初に降りて行ったのは知っているけど、さっきからムツキが見当たらない。


 俺がきょろきょろしていると兵士の一人がムツキは湖の方へ行ったと教えてくれた。


 そういえば荷物に水着を入れていたけど、まさか一人で泳いでいるなんて事は無いだろうな……。


「国王様、ちょっと湖へ行きたいのですが宜しいでしょうか」


 今回は国王様の護衛という任務の最中なので、無断で行動する事はできない。


 無事国王様の許可を貰った俺が湖へ向かうと、そこには下半身だけ水着に着替え、湖の浅瀬で何かをやっているムツキがいた。


 遊んでいるという感じでも無いし何をやっているんだろう。


「ムツキー、何やってるの!?」


「あ、シュウさん。この湖で珍しい貝殻が取れるって旅人から聞いたんで探していたんですよ」


「貝殻!? それで水着持って来てたの?」


「ただの貝殻じゃありませんよ。何でもそれは猫神様の好物の貝だとかで、持っているだけでご利益があると王都の若い女の子の間で人気なんです」


「う、売るの? 自分用?」


「もちろん商品です、私はそういうのあまり信じてませんから」


「商魂たくましい事……」


「シュウさんも手伝ってくださいよ」


 やだよと言いたい所だけど、砂浜でムツキが一人貝殻を探している光景を思い浮かべると何だか可哀そうな気がしてしまう。しょうがないから少しだけ付き合ってあげるよ。


 貝殻を探している途中、俺はある事に気が付いた。そういえば今日は湖に小魚達が居る。


 この間クラちゃんを連れて来た時は小魚たちが全く居なかったけど、やっぱりあれはハイウルフの件と何か関係があったんだろうか。


 それから三〇分ぐらい二人で貝殻を探し、ムツキの言う貝殻らしき物を合計五個見つける事ができた。


「これ一個ちょうだい」


 別に俺はご利益とかを信じている訳では無いけど、一生懸命探したんだし一個ぐらいは貰う権利はある。


 それに猫神様の好物という事なら、殻だけでもあのスパイスケースに入れておけば何かしら良い方向に働くかもしれない。


「いいですよ」


 以外にもあっさりとOKが出たので俺は拾った中で一番小さな貝殻を一つ貰う事にした。そろそろお昼ごはんもできる頃だし、ムツキには着替える時間も必要だから宿に戻ろう。


「はーい」

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