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オーラド村再生計画(2)

【今回の登場人物】

ムツキ…"旅のしっぽ"の共同経営者で今回はミスズの代わりの臨時パートナー

村長…オーラド村の村長

 久しぶりに王都の南門を通り、この間ミスズと一緒に運転の練習をした草原を抜けてバスは順調にオーラド村へと進んでいた。


「この辺り、以前は強い魔物が沢山出たんですよね」


「そうらしいね、でも最近は出ないんでしょ?」


「お店に来るハンター達はそう言ってますけど、どこかへ行っちゃったんでしょうか?」


「さあ、通るハンターの数が増えたから必然的に魔物の数も減って来たってだけじゃないの。それに俺も王都の周りでは結構な数の強い魔物を討伐してるし」


「結構な数って……」


 俺は王都の周辺ではできるだけ弱い魔物、具体的にはCランク以下を討伐してしまわないようにバスを運転する時注意するようにしている。


 このバスがあれば魔物の強さに関わらず簡単に討伐できてしまうので、低ランクの魔物を大量に狩ってしまうと他のハンター達の獲物が無くなってしまうからだ。


 もちろん高ランクの魔物の方が燃料の増え幅、買い取り額共に高く効率が良いという理由もあるけど、そもそも弱い魔物はバスの走行音に驚いて大体が逃げてしまう。


「もう本当に呆れて言葉も出ませんよ」


 ムツキは以前ひとりで雑貨屋を経営していた事もあり、時々森にも入る機会もあって魔物の恐ろしさは人一倍分かっている。


 ミスズはもう既にこっち側の感覚になっていて、Bランクのハイウルフですらも「あー……またか」と最近は気にも留めなくなってしまった。


 そして俺は低ランクに分類してしまっているが、Cランクの魔物はハンター達からしたら決して雑魚ではない。


 気を抜くと命の危険も十分にあり、それがハイウルフともなれば先日のように武装兵十七名でやっと一匹相手できるかどうかという危険な魔物である。


 そんなこっち側 (・・・・)の感覚にバスへあまり乗らないムツキはまだ慣れないでいた。


「あっ、オーラド村が見えてきましたよ」


 途中、一台の行商馬車とすれ違った他は何事も無くオーラド村まで到着する事が出来た。


「確か地図ではこの辺りの筈だよね」


「あ、あれじゃないですか?」


 俺の嫌な予感は的中した。やっぱり今回の依頼人と言うのは……キツい雰囲気の女性と言うのは村長の娘さんの事だった。


「シュウさん依頼人の事を知っているんですか?」


「ああ、以前ちょっと魔物の討伐を依頼された事があってね」


 俺達は建物の前にバスを止め、村長の家の扉をたたいた。


 以前は一階が小さな食品店になっており娘さんが店番をしていたが、あれは一時的な物だったらしく魔物が消えて村に活気が戻った今はもう営業していなかった。


「はいー」


「こんにちは、どうもお久しぶりです。依頼の件でお伺いしました」


 出迎えてくれたのは娘のアンナさんではなく、魔物を飼いならしていた例の村長だった。


「あっ、シュウさん……これは遠い所をわざわざ有難うございました。そして先日は本当にご迷惑をおかけしました」


 そう言い、深々と頭を下げた村長は俺達を応接室へと通してくれた。


「それはそうと、今日はミスズさんはご一緒ではないのですか?」


「ええ、彼女は今日は王都で店番をしています。代わりに優秀なこのムツキを連れて来ましたのでご安心ください」


 突然話を振られたムツキは少し照れた様子でやや焦り気味にペコっとお辞儀をした。


 あの事件の後、王宮に呼びつけられ国王様にこってり絞られた村長は帰村後に村人に向けても再び謝罪をしたという。


 その甲斐があってか引き続きオーラド村の村長として活躍しており、村民の期待に応えるべく今は村おこしに試行錯誤しているらしい。

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