シゼリ荒野丘奪取戦⑥ 副将戦
雷鳴と晶音が荒野に響き渡る。
紫水晶の刃と黒雷の剣が幾度も激突し、閃光が交差するたびに、乾いた砂塵が吹き飛び、地面に刻まれた傷跡は深みを増していく。
イガートの足元には紫晶の魔法陣が薄く展開され、踏み込むたびに微細な粒子が舞い上がり、次なる結晶を創出する導線と化していた。
一方、ヴェルンドは黒雷を自身の筋肉に流し込むようにしてその身体能力を極限まで引き上げ、まるで疾風のごとき突進を繰り返している。
「遅い……」
ヴェルンドが囁くと同時に、黒雷が空間を裂いた。斬撃ではない。
ただ通っただけで、空気ごと空間が捩じれ、そこにあった紫晶が蒸発する。
だが、そこは囮だった。
「——読んだぞ」
イガートの声と同時に、背後の地中から紫晶の針が三十本、扇状に展開してヴェルンドを穿たんと突き上げる。
「ッ……!」
ヴェルンドは咄嗟に身体を雷に変えて距離を詰め、地を蹴らず空を走った。だが、空間の一部にはすでに罠が張られていた。
「その動きはすでに織り込み済みだ」
瞬間、空中に浮かぶ紫晶の板が数枚、盾のように出現し、斜めからヴェルンドを押し潰すように包囲してくる。視覚的には逃げ場がありそうでいて、すべての出口に隠された刃が待ち構えていた。
「貴様……この程度の動きすら読み切るか……!」
ヴェルンドは右腕を掲げ、雷を一瞬にして球状に凝縮。閃光と共に放たれたその雷球は、紫晶の板を一枚ごとに貫通し、背後の地面を抉るほどの破壊力を見せた。
——だが。
「甘いな。私の紫晶は形で終わらん」
破壊されたはずの晶片が、空中で霧状となってヴェルンドの視界を塞ぐ。次の瞬間、その霧が一斉に再構成され、無数の矢のように彼へ襲いかかる。
「再構築……再装填だと……!」
ヴェルンドは舌打ちしながら、黒雷を脚に纏わせた瞬間加速で霧を突き抜けた。その動きは獣の跳躍のように荒々しく、剣の一振りは紫晶の盾を一気に三枚、斬り裂いてゆく。
「やるな……制御と火力、両立しているとは」
イガートの表情は変わらない。だが、その手は確実に殺すための準備を進めていた。
「だが、俺の創出は“芸術”ではない。これは……兵器だ」
言葉と共に、彼の背後の紫晶が集束し、一対の大弓のような装置を形成し始める。紫晶の弦が張られ、そこに矢のように差し込まれたのは、破砕力を極限まで高めた紫晶の槍。
「——獲物を穿て」
弦が光を放ち、矢が放たれる。
空気が引き裂かれる音。
ヴェルンドはそれを迎撃するよりも先に、両手を前に交差させた。
「ならば……纏え、黒雷衣!」
黒雷が全身を包む。
紫晶の矢が命中した瞬間、爆裂音と共に雷光と晶光が四散する。
吹き飛んだかに見えたヴェルンドは、黒焦げとなった外衣を振り払いながら、なおも真っ直ぐイガートに向き直る。
「まだだ。まだ……終わらん!」
二人の周囲の兵士たちは遠巻きに見ていた。誰も近づけない。もはや「軍」ではない、「個」の極限がぶつかり合う、戦場の中の異界だった。
イガートは一瞬、視線を外す。
その一拍の間に、彼は周囲の変化を察知した。
だが——まだ介入はない。
「……ふむ。ならば、もう一手、試してみるか」
紫晶の陣形が再び組み直される。地面に浮かぶ幾何学模様が変化し、戦場全体を飲み込む規模へと拡大し始めた。
そしてヴェルンドは、その変化を直感的に察知する。
「……これは……」
彼は息を詰めた。これは結界ではない。結界というより牢獄に近い。
この戦いが、ただのぶつかり合いでは終わらないことを、二人の将は悟り始めていた。
蒼雷と紫晶が激突した戦域は、もはや一つの戦場というより異界であった。
地に刻まれた無数の雷痕、砕けた水晶片の山、天を覆う砂塵と帯電する空気の匂い。それらすべてが、ただの副将同士の戦いとは思えぬ異様な緊張を漂わせていた。
そしてその中心に、二つの影があった。
一方は、黒雷を纏う魔人のごとき男——ヴェルンド・テルエス。
その額から滴る汗が熱を孕み、肌を焼くように蒸発してゆく。全身の皮膚は帯電し、放つ気配は猛禽そのもの。だが彼の瞳は、暴走する雷とは裏腹に冷たく澄んでいた。
対するは、紫紺の晶を纏いし寡黙な貴公子——イガート・ヴァル・ヴィリア。
その背筋は戦場にあってなお寸分も歪まず、指先まで優雅に構えられた剣からは、まるで舞踏のような洗練された殺意が放たれていた。紫水晶の装飾は光を弾き、その全身があたかも作り物のような冷徹さと美しさを備えていた。
再び、雷と晶が交錯する。
ヴェルンドの黒雷剣が大気を裂き、イガートの紫晶剣がそれを受け流すたびに、凄まじい火花が夜のような砂塵の闇を照らす。軌道は常に交差し、その余波だけで周囲の砂丘が崩れ落ちていく。
「貴様——なぜそこまでして、姿を隠していた」
雷を放ちながら、ヴェルンドが問うた。彼の口調は、怒りでも挑発でもなく、ただ戦略の綻びを見極めようとする兵士のものだった。
「……必要がなかった。ただ、それだけだ」
イガートの返答は簡潔だった。だが、その簡素さの裏に、「不要な戦いは無意味」という思想が透けていた。戦は、勝つためにやるもの。誇示や復讐ではない。そう言わんばかりの冷徹な理。
その思想にヴェルンドは不快さを覚えた。
自らの雷が叫びを上げ、気流が狂う。
「貴様のような“戦略家”のせいで、多くの兵が無為に死ぬのだ」
「戦略なき衝動のほうが……死者は多い。貴様こそ、その典型だろう?」
火花が、睨み合いの間に弾けた。
——次の瞬間、両者は同時に跳んだ。
雷の閃光が奔り、水晶の盾が破裂する。重なる剣戟の音が、戦場全体を震わせるような反響を放った。
イガートの右手に握られた剣は長剣ではない。直線的な紫晶の短剣だった。
その一閃が、ヴェルンドの防御の隙間を突き——だが触れる寸前、黒雷の煙幕が一面を覆った。
煙と閃光の中、ヴェルンドは逆手に持ち替えた剣を旋回させて振るう。
だが——手応えがない。
「——位相ずらしか……!」
紫晶の破片が宙に散り、イガートの本体は一瞬前とは僅かに“空間をずらして”いた。
微細な創力の変調による身位のズレ——虚像と実像の乖離によって、彼は剣圏を逃れたのだ。
「まるで幻影……ッ」
ヴェルンドは吐き捨てると、雷を自身の四肢に纏わせる。
雷撃の形状は、もはや剣ではない。
蛇のような鎖。爪のような鉤爪。腕に、脚に、背に、全身から異形の雷が突出し、彼の肉体すらも“兵器”に変貌させていた。
——《雷装顕現》。
彼がこれまで使わずにいた、半ば人外の戦法である。
一方のイガートも、ただ黙っていたわけではなかった。
紫晶陣の構築は、まさしく牢獄の如く荒野を囲みつつあった。地表に刻まれた幾何学の輪郭は、静かに輝きを強め、その中心にいるイガートの気配もまた、微かに変質していく。
対するヴェルンドは、黒雷の放出を一時抑え、全身の創力を内へと絞り始めていた。
「……詰めに入る気か。ならばこちらも応じよう」
呟きと共に、彼の肌に浮かんだ雷文が濃くなる。黒き稲妻は音もなく腕から背中、脚部へと流れ、やがて一対の“雷翼”を背に宿した。
地を蹴る。
黒い疾風が紫晶陣を貫く——が、その刹那、地面が裏返るように隆起し、十数本の紫晶槍が同時に跳ね上がった。
「逃げ場は……上だと、思ったか?」
イガートの声と共に、上空へと放たれた晶鎖が翼を狙って絡みつく。雷翼がそれを焼き払いながらもバランスを崩した瞬間、地表からは再び晶の弾幕が放たれる。
「ならば……破ってみせよう!」
ヴェルンドが叫ぶ。その声は、空気を震わせ、戦場の広域へと響き渡った。
その瞬間だった。
――ドォンッ!
西の丘陵地から、異なる雷鳴が轟いた。戦場にいた者たちが一瞬、耳を傾けた刹那。砂塵を割って、漆黒の影が一騎、戦域へと突入してくる。
「敵部隊……否、これは……」
叫びかけた兵の声を、風が呑み込む。
現れたのは、黒き面頬を被った騎兵の一団。その中央に立つは、イフィラ副将直属の将兵——“雷霆の衛士”と呼ばれる精鋭部隊である。
ヴェルンドの支援に呼応するように、彼らは紫晶の外郭を突き崩さんと突撃を始めていた。
一方で、紫晶の砦の東より、再び砂塵が舞う。
「……間に合ったか」
静かに声を洩らしたのは、イガートの腹心——鉄紋のドレアス・ムヴァールである。重装の鎧に身を包み、大盾を携えて前衛を切り裂く姿は、まるで古の闘神のごとし。
その背後には、焔斧のバシク・トランガス、残風のニリウス・スヴァリス、そして黒蛇のセリム・ガルダ——イガート麾下の四腹心が揃い踏みとなっていた。
「本気で殴り合う時が来たらしいな、将軍殿」
バシクの声に、イガートは振り向かず応える。
「……いいだろう。“檻”を解いてやれ。此処からは――戦の幕が開く」
紫晶の結界がその輪郭を緩める。内と外が繋がり、雷霆と紫晶、黒雷と戦術が交錯する。
イガートが右腕を掲げた。
「全軍、展開せよ。機は熟した」
その宣言は、隠されていた軍の全貌を露わにする号令でもあった。
荒野に眠っていたはずの静かな丘が、ついに目を覚ます。そこから展開されるのは、イガート・ヴァル・ヴィリアという《沈黙の戦略家》が満を持して放つ、逆襲の一手であった。
荒野に響く咆哮と閃光。そのすべてが、紫晶と黒雷の奔流によって塗り替えられていた。破壊の律動は留まることなく広がり、地を割り、空を裂き、ただ前進を命ぜられた兵たちを容赦なく呑み込んでいく。
その中心で、鉄紋のドレアス・ムヴァールが咆哮を上げた。
「来いよ、雷霆の狗どもッ! この盾は貫けねえぞ!!」
彼の担う盾は、巨大な金属塊に紫晶の縁取りが施された戦術兵装であり、打撃を受け止めるたびに周囲の地面が鈍く揺れた。突進してくる雷霆兵たちの衝撃を、足さばきと重量で殺し、跳ね返すように押し返していく。その動きは鈍重に見えて、的確かつ律儀な反射で構成されており、背後の味方を守る盾としての本質を貫いていた。
大地には紫晶の粒子が散らばり、それが彼の盾と共鳴して強化される。まるで盾そのものが陣形の“要”であるかのように、鉄紋の男は一歩も退かず最前線に立ち続けた。
一方で、焔斧のバシク・トランガスは猛獣のごとく吼えていた。
「おらァァァァ!! 燃えてきたぜェッ!!」
彼の巨斧は両手に余るほどの大きさで、刃には紫晶の文様が刻まれている。それを振るえば、周囲の空気が震え、風圧だけで兵が吹き飛ぶ。振り下ろすたびに地が裂け、紫晶が炎を帯びて燃え上がり、戦場は火の海と化していった。
雷霆の衛士たちは距離を取ろうと試みたが、バシクの斧撃が生み出す火の檻がそれを許さなかった。逃げ道を封じられた兵たちは、焼け焦げた大地の上で成す術もなく散っていく。
そのさらに外縁では、残風のニリウス・スヴァリスが風のような動きで側面を疾走していた。
「抑えろ、あいつらの連携を分断しろ。先手を取らせるな……!」
戦場の流れを読む目は冷徹そのもので、彼は雷霆の中で最も連携力の高い小隊を狙い撃ちにする。旋回、滑空、そして暗殺に近い正確な斬撃。斬られた者は、何が起きたのかも分からぬまま膝を折る。
剣が風鳴りすら生まぬほど鋭く、ただ血と土と金属の臭いだけが後に残る。
そして——黒蛇のセリム・ガルダは、もはや戦場という常識から遊離した存在だった。
姿を消した彼は、雷霆の後衛に潜入し、軍師や指揮官格の兵士を次々と消していく。その一撃は音すらない。気配すらない。ただ次の瞬間、誰かが血を噴き倒れる。
「後方に、何かいるぞ! だが、見えない……どこだ……どこに——!」
動揺の声が連鎖し、雷霆の後衛陣が崩れていく。敵が見えぬ恐怖は、刃より鋭く兵たちの意志を断ち切るのだった。
この四人の動きは、単なる技巧の域を超えていた。策謀、火力、速度、沈黙、暗殺。全てがイガートの意図の下で機能し、戦場全体を切り取っていく。あたかも巨大な歯車の噛み合わせが完成したかのように、それぞれの攻撃が連鎖し、雷霆の連携を粉砕していった。
だが、ヴェルンドもその状況をただ見過ごすはずがなかった。
「……全軍、陣を崩すな。雷霆、第二陣、前へ」
その言葉は、黒雷を帯びた号令となって戦場を走った。雷霆の兵たちは、即座に後方へ後退し、しかし散開はせず陣形を組み直す。
地表に雷の紋が走る。その幾何学的な図形が兵たちの足元に展開し、黒雷の創力を各個へと伝播させていった。
「我らは雷と共にある。斬り伏せよ、紫晶の影どもを——!!」
その瞬間、雷霆の陣は進化を遂げた。単なる突撃隊ではない。兵たちは互いに雷を中継し合い、個々の出力が連動しはじめる。斬撃と雷撃が同期し、槍の一振りが稲妻となり、盾の一閃が雷壁となる。
「ちっ、勢いを取り戻しやがったか!」
バシクが斧を構え直し、焦燥を混じらせて唸る。
こうして戦局は、両軍副将の「個」から「軍」へと再び姿を変えていった。
そして——その中心。
雷光と紫晶の結界の狭間。灼けた空気の中で、なおも交錯し続ける二本の剣。
ヴェルンドとイガートは、なおも個としての頂に立ち、剣を交え続けていた。
交わされる一撃ごとに空が閃き、大地が鳴動し、そして兵たちの士気が塗り替えられていく。
——まるで、この戦場の運命そのものを、二人の剣が握っているかのように。
荒野に吹きすさぶ熱風が、血と雷、紫晶と炎の匂いを攪拌し、戦場全体に濁った息吹を吹き込んでいた。
だがその時——
轟音を超えた「圧」が、空気ごと場を押し潰した。
紫晶と黒雷が交錯する最前線。その中央、イガートとヴェルンドの激突を包囲するかのように、新たな気配が二重に走ったのだ。
ひとつは風を裂く切断の気配。
もうひとつは、空気を震わせるほどの重雷の鼓動。
その瞬間、双方の兵たちが一斉に足を止めた。まるで、得体の知れぬ巨大な猛獣が目前に姿を現したかのような本能的恐怖——それが、兵士たちの思考を凍らせた。
そして、現れた。
一人はゼルグ側より。風のように静かに、しかし地を踏むたび空気が裂けるような存在感を纏い、《五芒刀》の異名を持つ剣士——オブリグス・ストレイド。
もう一人はイフィラ軍より。黒衣に雷文を刻んだ鎧を纏い、雷鳴を従えるように歩む老将——《雷神》ラルド・オルフェガス。
両者は、あたかも申し合わせたかのように、まっすぐに二人の副将——ヴェルンドとイガートのもとへと歩を進めた。
「——そこまでだ、若き副将たちよ」
先に声を発したのはオブリグスだった。その声音は穏やかでありながら、抗えぬ断言として響いた。
「この地に命を散らす理由は、もう充分に果たされた。これ以上、貴様らが誇りを賭けて戦う必要はない」
「その通りだ」
低く響く雷鳴のような声でラルドが応じる。
「貴様らの一手一手は、既に敵に知れ渡った。戦術も、能力も、性格すらもな。これ以上戦えば、たとえ勝とうとも“情報”が奪われる。それは国家にとって致命となる」
「貴様らがここで全てを出し尽くし、どちらかが倒れれば、それこそ“愚策”というものだ」
二人の老将の言葉は、静かなる怒気と深慮を孕んでいた。
イガートは剣を下げた。紫晶の粒子が宙に舞い、彼の体から静かに剥がれ落ちていく。
「……お戯れかと思いましたが、なるほど。貴殿らが直接出向くとは、さすがに真意と見て良さそうだ」
「これ以上の剣戟は、互いにとって損失が大きすぎるという判断か」
ヴェルンドもまた、黒雷の刃を霧のように霧散させたが——その目は、目の前の人物に向けられたままだった。
「……ラルド師」
その声音には、剣士としての威厳ではなく、弟子としての敬意と畏れがこもっていた。
「この場に、貴方が来られるとは……私などでは到底計れぬ、大義があるのだと悟りました」
ラルドはそれに表情を変えず、ただ静かに一歩前へ出て、短く応じた。
「お前がここまで歩んできたことは、見ていた。だが、今は剣ではなく、判断が問われる時だ。ヴェルンド——お前の意志を信じる」
その言葉に、ヴェルンドは深く頭を垂れた。
「はい、師よ。ここは、我らが一歩退くべき戦場と心得ました」
その様子を見届けてから、オブリグスは地に五芒星を刻むように大剣を突き立て、言葉を続けた。
「ここより先は——総大将同士による一騎討ちで決着をつける。我らが命を賭して証としよう」
すると、ヴェルンドが一歩、ラルドの前に進み出て、低く深く頭を垂れた。
「……師よ。どうか、私に代わってこの戦場を託してください」
その声には剣士としての誇りではなく、一人の弟子としての誠実な懇願が滲んでいた。
「本来ならば、この身が剣を抜くべきでした。だが、貴方がそれを担われるというのなら……私は、何も申しません。どうか、どうか——ご武運を」
その真摯な言葉に、ラルドは無言のまま頷いた。視線には、教え子への深い信頼と慈しみが宿っている。
「ヴェルンド。よくぞここまで戦い抜いた。……この先は、老いたる我らの責務だ。お前は、兵を退かせ、次の戦の礎を築け」
「はっ……!」
ヴェルンドはなお頭を垂れたまま、師の命に従い、戦列の背後へと静かに下がった。
——そして、両軍は静まり返る。
風が再び吹き荒び、戦場に残るのは、二人の老将の気配のみ。
戦は、個から軍へ、そして再び個へと還る。
次に語られるのは、古き英雄たちの誇りの剣戟。
彼らがこの荒野に刻む最後の物語が、今まさに始まろうとしていた。




