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ニセモノ?ホンモノ?  作者: 名無幸
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ひどすぎる方向音痴

日曜日 今日は他校を招いての練習試合。結果は3-1で勝利。僕も1点をマークした。


試合を終えて気分よく帰ろうとすると、校門前で偶然仁科さんと出会った。


「あれ? 仁科さんも部活…じゃないよね。私服だし」


「あ、雪村さん。こんにちは」


仁科さんは丁寧にお辞儀する


「こんにちは。学校に何か用なの?」


「いえ、用があるのは商店街です」


「え? 商店街??」


商店街は学校に来る道とは逆方向だ。


「仁科さん、商店街は向こうだよ。こっちじゃ反対方向に進んでるよ」


「ええ! そんなはずないです。商店街は確かこっちで…」


仁科さんは驚いた顔で反論する。


「間違ってるよ、それ。商店街は帰り道だから案内するよ」


「す、すみません」


仁科さんと並んで歩く。


「今日も部活だったんですか?」


「ああ、今日は試合」


「勝ったんですか?」


「うん。楽勝」


「すごいです! 毎日一生懸命練習してますものね。サッカー部」


感心する仁科さん。


「まあ言う通り熱心な奴が多いね。それにしてもよく知ってるね」


「ええ。演劇部の部室からグラウンドはよく見えますから」


「なるほど」


「退屈なときはいつも見ています」


ちょっと待て。それはサボっていると言うのでは?


「そうなんだ」


「雪村さん、一つだけ聞きたいんですけど」


仁科さんが改めてこちらを見る


「何?」


「瑞音ちゃんと偽物の彼氏になったって聞いたんですけど」


「ああ、花丘さんから聞いた?そ、ただの名義貸しみたいなもの」


「じゃあ、本当にカップルになる予定は無いんですよね?」


「…まあ、そうだね」


「よかった…」


仁科さんは小声で何かを呟く


「なんか言った?」


「い、いえ何でもないです」


それ以来、会話が途切れる。


しばらく歩いた後、居たたまれなくなって口を開く。


「…そんなに部活の間って暇なの?」


「……」


あれ?返答がない。


横を見ると、彼女の姿がない。当然後ろにもいない。


どこ行ったんだ?


来た道を戻ると、全然違う方向に歩く仁科さんを見つけた。


「仁科さん、待って」


呼び止める。


「あれ? 雪村さん、どこ行ってったんですか?」


彼女は自分の方が間違った方向に向かっている事に気がついていない。


「仁科さん、商店街はこっちだって」


「あ、そうなんですか? すみません、また間違えたみたいで…」


仁科さんはやっと間違えた事に気がついたようだ。。


「いいよ別に。はぐれないように僕から目を離さないようにして」


「は、はい、すみません」


再び二人で歩く。


「…まあ仕方ないよ。方向音痴なんだから」


「私瑞音ちゃんと帰る時もいつもこうなんです。どうもふらりと別の方向へ行ってしまうんです」


「…花丘さんも大変だね」


「はい。瑞音ちゃんは優しいから『気にしてない』って言うんですけど、内心は呆れていると思います」


仁科さんは落ち込んでいる。


「そんな事はないと思うけど?」


「はあ、どうして私ってこうなんでしょう…」


仁科さんはますます落ち込んでいる。


「ま、まあまあ。そう落ち込まずに…。気をつければいいだけだって。ほ、ほら携帯の地図アプリとか使えばきっともう迷わないよ


「地図アプリ? なんですか、それ?」


「ほら、携帯電話で地図が見れて、自分の位置も表示されるアプリだよ」


「そんなのがあるんですか? でも私携帯の扱いが苦手なので使えるかどうか」


「教えようか。貸してみて」


「はい」


仁科さんから携帯を借りる。


アプリドロワから地図の文字を見つけて選択する。


周辺の地図と矢印が表示される。


「ほら、この矢印が僕達のいる位置で、商店街はここ。で、ここをこうすると拡大もできる」


「わ。本当です…。こんな便利なものがあったんですね」


「うん。それを見ながら歩くようにすれば大丈夫じゃないかな?」


「わかりました。やってみます。いいこと教えてくれてありがとうございます」


「いえいえ。あ、そろそろ商店街だ」


「あ、本当です。ありがとうございました」


お礼をいう仁科さんとわかれて帰路についた。


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