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ニセモノ?ホンモノ?  作者: 名無幸
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言うことを聞け

期末試験が近いということで、教室内も慌しい。


「慧。今回も悪いんだけどー…」


いつもの通り夕希がやって来た。


「はい。コピーで悪いんだけど」


「そんなことないよ。わざわざありがとう。助かるよ」


「どういたしまして」


夕希はコピーを貰って机へと戻っていった。


「慧ー、助けてくれぇ」


今度は正明がやって来た。これもいつもの事だ。


「ほら、要点まとめといたぞ」


「悪いな、いつも」


「まあ、頑張ってくれ」


「おう」


正明も机へと戻っていった。


「おーい、雪村ー。お前のヤマ教えてくれ」


「あ、私も聞きたい。雪村君のヤマ凄く当たるって言うし」


「私も」


「俺にも教えてくれー」


大丈夫か?このクラス。


「みんなぁ! 俺のヤマならいくらでも教えてやるぜぇ!!!」


委員長何故か立候補。


「あ? 何言ってんだよ。補修上等のお前のヤマなんて当てになるわけねえだろ!」


「そーそー。あんたいつも学年最下位候補じゃん」


「そんな人のヤマなんて当てにしたら、赤点だらけじゃない」


「お前はヤマ張る以前に真面目に勉強しろー」


皆様からのブーイングにより、委員長あっさりと退場。


「はいはい、じゃあ皆さんのご希望にこたえまして、黒板に全教科のヤマ書きますので、必要な人は写してね」


黒板にヤマを書く。おそらくクラスの半分以上が書き写している。いいのか?本当に。


全て書き終えて机に戻ると今度は薫がやって来た。


「慧」


「まさか薫までノート貸してとか言うんじゃ?」


「何であなたより成績のいい私がノート借りるのよ?」


薫は不機嫌そうに眉をつり上げる。


「じゃあ、何の用?」


「今回の期末、私と勝負しなさい」


「へ?」


「そして勝った方が負けたほうの言う事を一つだけ聞く。いいわね?」


「ちょっと待って…」


「じゃ、伝えたわよ」


言うだけ言って薫は席に戻っていった。やはりこちらに拒否権はないらしい。


一体なんだというんだ?


薫の一方的な要求にどうしたものかと思案する。


突然何なんだ? 勝負って。しかも負けたら言う事を聞くって…。いつもは勝たないようにしてたけど、今回ばかりはどうするか…。


負けたら何を要求されるかわかったもんじゃないしな。仕方ない、薫も勝算があるから挑んできたんだろうけど、本気でやるとするか。




そして期末試験が始まり、運命の結果発表の日。


「おはよう」


薫が僕の席にやって来る。


「ああ、おはよう」


「今更、受けないとは言わないわよね?」


薫は鋭い視線を向ける。


「まさか…」


「ならいいわ。じゃあ結果を見に行きましょう。覚悟する事ね」


薫はそれだけ言うとさっさと教室の外に出ていこうとする。


「はいはい」


一つため息をついて、薫の後を追った。


二人で試験結果が貼りだされる掲示板の前に立つ。


「さあ、貴方の敗北の瞬間よ」


薫は自信ありげだ。


「…どうかな」


上から順に自分の名を探す。


2位 龍崎 薫


4位 雪村 慧


あっさりと決着がついてしまった。


「まあ、当然の結果よね。あなたも良くやったんじゃない?」


薫は勝ち誇っている


「まさか、2位とはね。で、要求は?」


「来週、映画に付き合いなさい」


「え?そんなのでいいの?」


「ええ。構わないわ。じゃあね」


薫は先に教室へと戻っていった。


教室に戻るなり正明と夕希がやってきた。


「お、戻ってきたか」


「いやー、あんたいつの間に勉強したんだい?」


「たまにはまぐれ当たりもあるみたい」


「まぐれであんな点数取れるわけないだろう?こいつ」


正明は人の背中を叩く。


「そうだよ。あれをまぐれなんて言われたらあたし達はどうするのさ?」


夕希は頭を叩く。


「お前達は大丈夫だったの?」


「あ、ああ。今回も助かったよ」


「全部赤点ギリギリセーフだった」


二人とも安堵の表情を浮かべている。


「じゃあ今回はみんな良い結果だったと…」


席に戻ろうとすると


「おめでとう」


「凄いです!びっくりです!」


更に二人が祝福に来た。


「ああ、ありがとう」


「雪村くん今回すごく頑張ったのね。4位なんて今までで最高じゃない?」


「まあ、やる時はやるという事で」


「確かに、影の実力者といった感じですねえ」


仁科さんは花丘さんの言葉にうんうんと頷いている。


「ただのまぐれだよ」


「謙遜しなくてもいいのよ。それにしても…」


花丘さんは薫の方に目をやり


「龍崎さん、凄いのね。驚いたわ」


今度は薫を祝福する。


「ありがとう。でもトップは取れなかったわ」


薫はそっけなく答える。ちなみに、トップは花丘さんである


「私もそう簡単には負けないわよ」


胸を張る花丘さん


「でも負けないわ。絶対」


そう言って薫は教室を出て行ってしまった。


「…私も絶対負けないわ」


花丘さんは何かを呟いた。


こうして、期末考査は終わりを告げた

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