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3時のおやつに掃除機

作者: 憂媿穎

部屋を掃除していたら押し入れから古い掃除機が出てきた。掃除機はこの間新しいのを買って間に合っていたけど、まだ十分使えそうだったので、捨ててしまうのもどうかと思い、私はそれをおやつに食べることにした。引越してきたばかりの頃に使っていたもので、コードレス式の少し古い型のものだった。そういえば一人暮らしをするときに母から痛みやすい食材とかの話を聞いたけど掃除機はどうなんだろう。うーん、そもそも掃除機は食材じゃないから、まあOKでしょ!!そのまま食べてもなんだか味気ないなと思い、業務スーパーに蜂蜜を買いにいくことにした。セルフレジに並んでいる最中、レジ付近の棚に陳列されているデザート類に目を奪われそうになる。危ない危ない!絶対ダメ!!私の今日の3時のおやつは掃除機って決めてるんだから!!お会計を済ませて急ぎ足で家に着く。食器棚にあるお皿の中で掃除機がそのまま収まりそうな大きさのものがなかったので、細かく分解し、部位ごとにお皿に盛ることにした。ノズルを角型のお皿に移し、本体部分を大きめの反り返しになっているお皿にちょこんと乗せる。吸い取り口の部分はカレー用の器にぴったりだった。盛り付けを終えると、私は掃除機の上にたっぷりとはちみつをかけた。もう一度よく手を洗う。いただきまーす!!…とそうだ、食べる前にインスタ載せよ。少しカメラアングルに迷った末、無事掃除機を写真に収め、私はそれをインスタに投稿する。ー 今日のおやつ 掃除機の蜂蜜添え ー 数分して続々と投稿にコメントといいねが付く。


「器まで可愛くて素敵~!!」 

「コードレス式懐かし!!チョイス渋~」

「いいなー私もお腹空いてきちゃいました」


それらの中のいくつかに適当に返信を返して、私はなんとなく満足したのでそろそろおやつを頂くことにした。…じゃあ、改めていっただきまーす!!丁寧にナイフでノズル部分を切り分け、フォ―クでおそるおそる口に運ぶ。…!!良い!!そう、美味しいでもマズいでもなく、私が一番に感じたのはそれ。どことなく嫌味な感じのする舌触りの良くない食感を持ちながらも、甘味を十分に持ち合わせている。まさしく罪な味。ネジとか小部品がゴリゴリして、硬いのが苦手な私にはちょっときつかったけど、蜂蜜のアクセントが十分に効いていて苦することなく午後のおやつとして頂ける味に達っしていた。


「…比奈?」

玄関のドアを半開きにしたままケイ君が唖然とした様子で立っていた。手にはシャトレーゼの紙袋を握っていた。

「それもしかして買ってきてくれたの?後で食べるから冷蔵庫しまっといて」

「…いや、そうじゃなくて」

ケイ君は食べかけの掃除機に対して何か言いたげにしていた。

「…もしかして私が一人で美味しいもの食べてたの怒ってる?ごめん。だけど、ケイ君に内緒にしようとか全然そんなつもりじゃなかったんだ。本当にただのふとした思い付きで」

ケイ君はまだ納得が言ってない様子だった。それどころかみるみる顔が曇ってきている。

「…付き合い始めの頃に約束したよね。これからは、どんな楽しいことも辛いことも2人で分け合って生きていこうって。…それなのに僕に黙って一人でそんなに美味しそうな物食べて…比奈の馬鹿、馬鹿、馬鹿!!うわああああああああああ」

…あーあ、行っちゃった。ケイ君はメンヘラ気質なとこがあるからな。まあいいか。後でLINE送っとこ。私は先に残りの掃除機を胃袋に収めてしまうことにした。掃除機は旧型にしては量が多く。女性一人で食べるにはなかなかヘビーだった。



* * * * *

 



ふうー、食べた食べた。あー美味しかった。


…なんか物足りないな。


……冷蔵庫のケーキ食べよっと。甘いものは別腹って言うもんね

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