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第47話 討伐の終わり、いつもの帰路

合同討伐は、想定通りに進んだ。

数は多かったが、混乱はなく、大きな犠牲もない。


役割を果たし、持ち場を守り、時間をかけて確実に終わらせる。

それは派手さのない仕事だったが、冒険者にとっては理想的な形だった。


陽介たちにとっても、それは同じ。

弓、索敵、指示。

いつもの形で、最後までやりきるだけだ。

丘陵地帯に広がっていた緊張感は、少しずつ薄れていった。

魔物の姿はほとんど見えなくなり、討伐隊全体が終盤に入っていることがわかる。


「前方、反応二。距離は遠い」

アイリスの声は、相変わらず落ち着いていた。


「無理に追うな」

ガルドが即座に判断する。

「こちらから詰める必要はない。動いたら対処する」


「了解」

フィオラが頷き、前線の位置を微調整する。


陽介は弓を構えたまま、呼吸を整えていた。

矢筒の残りは十分。

腕の疲れも、まだ許容範囲だ。


しばらくの静寂のあと、魔物が動いた。


「来るわ」

「撃つ」


短いやり取りだけで十分だった。

矢が放たれ、魔物は倒れる。

もう一体も、続けて処理された。


「これで最後だな」

ガルドが周囲を見回す。


「ええ」

フィオラが答える。

「全体の動きも、もう落ち着いてます」



全体指揮から、撤収準備の合図が出た。

討伐隊は各自、周囲を確認しながら持ち場を離れていく。


「終わったな」

陽介が小さく呟く。


「終わったわね」

アイリスは索敵を続けながら言う。

「……反応、完全にゼロ」


その言葉で、陽介はようやく弓を下ろした。


近くでは、他のパーティも装備を整え、軽く言葉を交わしている。

どの顔にも、達成感よりも「仕事が終わった」という安堵が浮かんでいた。


遠くで戦っていた別の街の冒険者たちも、静かに撤収していく。

特に挨拶を交わすこともなく、視線が合うこともない。


ただ、同じ方向へ向かって歩いているだけだった。



帰路は、来たときよりもずっと静かだった。

隊列は自然とばらけ、それぞれの街ごとにまとまっていく。


「この規模で、ここまでスムーズなのは珍しい」

フィオラが言う。


「準備がよかった」

ガルドは淡々と答える。

「それと……」

一瞬、陽介を見る。

「後衛が安定してた」


「……ありがとうございます」

陽介は少し照れたように返した。


「当たり前でしょ」

アイリスがすぐに口を挟む。

「私が索敵してるんだから。外すわけないじゃない」


「はいはい」

陽介は苦笑する。


そのやり取りに、フィオラが小さく笑った。

「ほんと、息が合ってきたね」



街道に出るころには、空が少し赤く染まり始めていた。

討伐地点からここまで、特に問題はなかった。


「このまま街へ戻って、報告だな」

ガルドが言う。


「今日はもう休みでいいでしょう」

フィオラが続ける。

「全体討伐の後ですし」


「賛成」

アイリスが即答する。


陽介は歩きながら、ふと周囲を見回した。

索敵の声があり、前にはガルドとフィオラがいる。

それが、今では当たり前になっていた。


「……順調ですね」

何気なく、そう口にした。


「順調だ」

ガルドは短く答える。


それ以上の言葉はなかったが、それで十分だった。



街が見え始める。

門の向こうに、いつもの景色が広がっている。


今日も、無事に戻れた。

それだけのことだ。


冒険者として、それ以上でもそれ以下でもない。

合同討伐は無事に終了し、陽介たちは街へ戻ります。

大きな事件もなく、役割を果たし、仕事を終えただけの一日でした。


次回は、討伐後の街での一幕を描きます

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