表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/49

第46話 合同討伐

ギルドから出された依頼は、久しぶりに規模の大きいものだった。

特定の地域で魔物の数が増え、単独のパーティでは対処しきれない。

そこで複数の街から冒険者を集め、合同で討伐隊を編成することになった。


陽介たちもその一員として参加する。

特別な役割が与えられたわけではない。

いつも通り、索敵と指示、そして弓。


ただ、それだけだ。

冒険者ギルドの前広場は、朝から人で溢れていた。

普段よりも多い数の冒険者が集まり、それぞれ装備を整え、仲間と短く言葉を交わしている。


「ずいぶん集まったな」

ガルドが周囲を見渡しながら言った。


「隣の街からも来てるみたい」

フィオラが指差す先には、見慣れない紋章をつけた装備の一団がいた。


陽介はその数に、思わず息をのむ。

「……こんなに大規模なの、初めて見ました」


「今回は数が多いからな」

ガルドは落ち着いた声で続ける。

「一体一体は強くないが、群れになると厄介だ。連携を崩さず、持ち場を守る。それだけだ」


「了解」

フィオラが頷く。


「索敵は私がやるわ」

アイリスが即座に言った。

「周囲三方向、常時見る。変化があったらすぐ伝える」


「頼む」

陽介は短く答え、弓の弦を確かめた。



討伐地点は、街道から少し外れた丘陵地帯だった。

視界は開けているが、起伏が多く、魔物が隠れやすい。


全体の隊列は大きく三つに分かれ、それぞれが担当区域を持つ。

陽介たちは中央寄りの位置に配置された。


「来るわ」

アイリスの声が即座に響く。

「前方、左から……五、いや七体」


「迎撃準備」

ガルドが指示を出す。


魔物の群れが姿を現す。

数は多いが、動きに統制はない。


「撃て」

ガルドの合図と同時に、陽介は矢を放った。


矢は正確に魔物を貫き、次の矢が続く。

無駄のない動きで、淡々と数を減らしていく。


「右、追加三体」

「了解」


フィオラが前に出て動きを止め、陽介の矢が確実に仕留める。

連携はいつも通りだった。



戦線が少し落ち着いた頃、陽介はふと視線を遠くへ向けた。


丘の向こう側。

別の討伐班が、少し離れた場所で戦っているのが見えた。


動きが速い。

連携も洗練されていて、魔物を次々と処理していく。


「……あの人たち、すごいですね」

陽介がぽつりと呟く。


「ああ」

ガルドはそれだけ答えた。


それ以上、言葉はなかった。

視線もすぐに戦場へ戻る。



再び戦闘が激しくなる。


「前、密度上がるわ」

「わかった」


アイリスの索敵は途切れない。

情報は簡潔で、判断に迷いがない。


「陽介、奥を狙え」

「はい」


矢が飛び、魔物が倒れる。

一射ごとに、戦線が整っていく。


時間はかかったが、混乱はなかった。

数の多さも、徐々に減っていく。


やがて、全体に合図が響いた。


「討伐完了!」


周囲から、安堵の声が上がる。

だが歓声は控えめだった。

あくまで、仕事が終わっただけだ。



撤収の準備をしながら、フィオラが言った。

「大きな怪我人もいない。いい討伐だったね」


「想定通りだ」

ガルドは短く答える。


アイリスは周囲を確認し、頷いた。

「残存反応なし。もう大丈夫」


陽介は弓を下ろし、深く息を吐いた。

「……終わりましたね」


「ああ」

ガルドは陽介の方を一度だけ見て言った。

「いい働きだった」


それだけで十分だった。



討伐隊は、それぞれの街へ戻るために散っていく。

他のパーティと交わす言葉はほとんどない。


ただ、同じ仕事を終えた冒険者として、同じ方向へ歩いていただけだった。

今回は、複数の街から集まった合同討伐を描きました。

規模は大きいものの、各パーティはそれぞれの役割を果たし、作戦は順調に進行します。


次回は、討伐後の流れと、街へ戻るまでの一幕です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ