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第45話 討伐前日、街のざわめき

街が、少しだけ慌ただしくなっていた。

噂が広がり、掲示板に紙が貼られ、人の流れが変わる。


魔物が増えている――

それ自体は珍しい話ではない。

だが今回は、単独のパーティでは対処しきれない規模だという。


陽介たちも、その動きの中に巻き込まれていく。

特別なことはない。

ただ、準備をして、流れに乗るだけだ。

冒険者ギルドの中は、いつもより人が多かった。

カウンターの前には列ができ、掲示板の周囲には冒険者たちが集まっている。


「……なんか、騒がしいですね」

陽介が周囲を見回しながら言った。


「情報が出たみたいね」

アイリスは掲示板の方へ視線を向ける。

「この感じ、たぶん大きめの討伐」


ガルドはすでに掲示板の前に立っていた。

貼り出された依頼書に目を通し、短く息を吐く。


「丘陵地帯の魔物増加か」

「単独不可、合同討伐……」

フィオラが横から内容を確認する。


「複数の街から集めるみたいですね」

「規模はそこそこ、だな」

ガルドは落ち着いた口調で言った。

「一体一体は強くない。数で押してくるタイプだ」


陽介は依頼書を見て、少し緊張した。

「……参加、しますか?」


「する」

ガルドは即答した。

「この手のは、人が足りないと厄介になる。行けるなら行く」


「了解」

フィオラが頷く。


「索敵は問題なし」

アイリスが腕を組んで言った。

「この規模なら、私が入った方が全体も楽でしょ」


「そうだな」

ガルドは簡単に話をまとめる。

「明日の朝、集合だ。今日は準備に回す」



ギルドを出ると、街の空気もどこか慌ただしかった。

武器屋や防具屋には冒険者が出入りし、補給の声が飛び交っている。


「矢、買っときます」

陽介が言う。


「一緒に行くわ」

アイリスが即座に続いた。

「在庫、見とかないと」


店の中では、すでに何人もの冒険者が矢束を抱えていた。

店主は忙しそうに対応している。


「今日はよく出ますね」

陽介が言うと、


「討伐だろ?」

店主は手を止めずに答える。

「こういう日は、街全体が動くんだ」


矢を受け取り、陽介は数を確認する。

「……これだけあれば大丈夫かな」


「予備も持っときなさい」

アイリスが当然のように言う。

「多い分には困らないでしょ」


「ですよね」

陽介は素直に追加で購入した。



宿に戻ると、ガルドとフィオラが装備を確認していた。

剣の刃、鎧の留め具、細かい部分まで抜かりなく見ている。


「準備はいいか」

ガルドが尋ねる。


「弓と矢は問題ありません」

「索敵用の集中も、明日なら万全」

アイリスが答える。


「なら今日は早めに休め」

ガルドはそれだけ言った。

「明日は人数が多い。余計な疲れは残すな」


「了解です」

陽介は頷いた。



夜になると、街のざわめきは少し落ち着いた。

だが完全に静まることはなく、どこか落ち着かない空気が残っている。


「明日、大変になりそうですね」

陽介がぽつりと漏らす。


「でも、想定内よ」

アイリスはあっさり言った。

「やることは変わらないでしょ」


「索敵して、指示聞いて、弓撃つ」

「そう。それだけ」


その言葉に、陽介は少し気が楽になった。


明日は忙しくなる。

だが、それはいつもの仕事の延長だ。

第45話は、大規模討伐の前日を描きました。

街が動き、情報が集まり、準備が進んでいきます。


次回はいよいよ、合同討伐の開始です。

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