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第44話 依頼完了と報酬の夜

長い行程を終え、陽介たちは街へと帰還した。

薬草採取の依頼は無事成功。

残る仕事は、ギルドへの報告と報酬の受け取りだけだ。


特別な事件は起きない。

だが、こうした何事もない一日こそが、冒険者の日常だった。

街門が見えたとき、陽介は自然と肩の力が抜けるのを感じた。


「やっと戻ってきたな……」


石畳の街道に足を踏み入れると、聞き慣れた喧騒が耳に届く。

行き交う人々、商人の呼び声、子どもたちの笑い声。

数日前に出発したときと、何も変わらない光景だった。


「街って、やっぱり落ち着くわね」

アイリスが周囲を見回しながら言う。


「索敵的にも、ここは安心だな」

フィオラが頷いた。


ガルドは短く笑う。

「まずはギルドだ。報告を済ませちまおう」



冒険者ギルドは、相変わらず賑わっていた。

依頼を探す者、報告を終えた者、酒を片手に騒ぐ者。

その中を抜け、四人は受付カウンターへ向かう。


「お帰りなさい」

受付嬢が書類を取り出す。

「山間部の薬草採取依頼ですね?」


「問題なく完了だ」

ガルドが簡潔に答えた。


陽介は袋から丁寧に包まれた薬草を取り出す。

「指定された量、全部揃ってます」


受付嬢は目を見開いた。

「これは……質も量も十分ですね。確認取れました」


「弓が入るとだいぶ楽だな」

ガルドが横目で陽介を見る。


「頑張りました」

陽介が少し照れながら答える。


「……誰のおかげだと思ってるのよ」

すかさずアイリスが口を挟む。


「はいはい。アイリス様のおかげですよ」

陽介が即答すると、


「わかればよろしい」

アイリスは満足そうに胸を張った。


そのやり取りに、フィオラとガルドが声を出して笑った。


「連携も安定してきたな」

フィオラが言う。

「この組み合わせ、かなり噛み合ってる」


「依頼完了っと」

受付嬢が報酬袋を差し出す。

「お疲れさまでした」


ずしりとした重みを受け取り、陽介は素直に嬉しくなった。



報告を終えたあと、四人はギルド併設の酒場へ向かった。


「今日は飲んでいいだろ」

ガルドが言う。

「無事に帰ってきた祝いだ」


「賛成」

フィオラが即答する。


陽介は少し迷ったが、すぐに頷いた。

「……たまには、いいですよね」


テーブルには料理が並び、杯が配られる。


「乾杯だ」

ガルドが杯を掲げる。


「依頼成功に」

フィオラが続ける。


「……無事に」

アイリスも短く言った。


杯が触れ合い、軽い音が響く。


料理を口に運びながら、話題は自然と今回の依頼に移った。


「山越えの道、思ったより長かったな」

「でも、危険は少なかった」

「薬草も状態が良かったし、いい依頼だった」


陽介は黙って聞きながら、時折相槌を打つ。

以前なら会話についていくので精一杯だったが、今は違った。


「次はどうする?」

フィオラが尋ねる。


「しばらくは近場だな」

ガルドが答える。

「体力も戻させたい」


「それなら、また弓の手入れしとこ」

陽介が言う。

「矢、だいぶ使ったでしょ。補充しとくわ。」

アイリスが言う。

「うん、頼む」

陽介は素直に答えた。


何気ない会話が続く。

誰も急がず、誰も焦らない。


いつもの夜だった。



酒場を出るころには、街はすっかり夜の顔になっていた。


「今日は解散だ」

ガルドが言う。

「明日は休みにしていい」


「助かる」

フィオラが笑う。


「じゃ、また明日ね」

アイリスが軽く手を振った。


「おやすみ」

陽介も返す。


それぞれが宿へと向かい、夜の街に溶けていった。


特別なことは何も起きない。

ただ、依頼が終わり、日常が戻ってきただけだった。

薬草採取の依頼は無事に完了し、一行は街へ帰還しました。

ギルドへの報告、報酬の受け取り、そして軽い打ち上げ。


次回は、しばしの休息と、次の依頼に向けた準備に入ります。

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