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第33話 帰還と報告

勝利の夜が明ける。

村での宴の余韻を身体に残したまま、討伐隊は街へ戻ることになった。


やるべきことは、もう多くない。

ギルドへの報告、依頼の完了、そして一区切り。

冒険者としての「仕事の終わり」が、静かに訪れる。


朝の空気は澄んでいた。

村を包んでいた喧騒はすでに消え、穏やかな日常が戻っている。


「……ちょっと飲みすぎたな」

 陽介はこめかみを押さえながら歩いていた。


「自業自得でしょ」

 アイリスが呆れた声で言う。

「調子に乗って、何杯も飲むから」


「だって……勝ったし」

「それは否定しないけど」


 そう言いながらも、彼女の表情はどこか柔らかい。


 ガルドは先頭を歩きながら、いつも通りの落ち着いた様子だった。

「今日は帰るだけだ。無理はするな」


「はい」

 全員が素直に応じる。


 街道は静かで、魔物の気配もない。

 あれほどの群れが近づいていたとは思えないほどだった。



 昼過ぎ、オルフェンの街門が見えてきた。


「帰ってきたな」

 フィオラが微笑む。


 街に入ると、いつもの音と匂いが迎えてくれる。

 行き交う人々、商人の呼び声、石畳を踏む足音。


 討伐隊はそのままギルドへ向かった。



「――依頼完了、ですね」


 受付の職員は報告書に目を通し、感心したように頷いた。

「被害なし、村も無事。討伐数も想定以上……かなり綺麗な仕事です」


「人数を揃えたからな」

 ガルドが淡々と答える。


「それに、後衛の弓がよく機能してました」

 フィオラが陽介を見て言う。


 職員が視線を上げる。

「弓手が?」


「はい」

 陽介は少し照れながら頷いた。

「まだまだですが……」


「いえ、十分ですよ」

 職員は笑った。

「最近の依頼、ずいぶん楽に終わってますから」


 その言葉に、ガルドとフィオラは顔を見合わせた。


「……そうか」

 ガルドは短く言う。

「それは悪くない」


 報酬が支払われ、依頼は正式に完了した。



 夕方。

 自然と足は酒場へ向いていた。


「結局、ここに来るんだな」

 陽介が苦笑する。


「仕事が終わったら、飲む」

 ガルドが言い切る。

「それが冒険者だ」


「じゃあ仕方ないですね」

 フィオラも笑った。


 杯が並び、軽く乾杯する。


「無事に帰還したことに」

「乾杯」


 酒は昨日ほど強くない。

 だが、それでよかった。


「今回の連携、悪くなかったわね」

 フィオラが言う。


「弓がいると楽だな」

 ガルドが陽介を見る。

「前に出す判断もしやすい」


「頑張ります」

 陽介は真面目に答えた。


 アイリスは腕を組み、得意げに言う。

「当然でしょ。私の索敵とセットなんだから」


「はいはい」

 陽介は笑った。


 店内には、穏やかな笑い声が流れる。


(……この世界で、ちゃんとやれてる)


 陽介は杯を傾けながら、そんなことを思った。


 今日で一区切り。

 また明日から、次の仕事が始まる。


 それでいい。

 それが、冒険者の日常なのだから。


第33話は、完全な帰還と締めの回でした。

村から街へ戻り、依頼を終え、報告を済ませる。

そして最後に、もう一杯。


ひとつの区切りを越え、

物語は次の段階へ進んでいきます。


次回からは、また新しい日常と依頼が待っています。

引き続き、お楽しみください。


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