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第31話 討伐完了

魔物の群れとの戦いは、すでに山を越えていた。

数に押されることもなく、陣形は保たれ、前線も崩れていない。


残るのは、戦いの終わりをどう迎えるか。

そして――村を守り切れたという確かな実感だった。


草地に響いていた怒号と咆哮は、いつの間にか途切れていた。

踏み荒らされた地面に立つのは、討伐隊と倒れ伏した魔物だけ。


「……来ないな」

 前線にいた冒険者が、周囲を見回して呟く。


 アイリスは目を閉じ、意識を広げていた。

「……反応、なし。森の奥も静かよ」


 その言葉に、張り詰めていた空気が一気に緩む。


「よし」

 ガルドが大きく息を吐いた。

「ここで終わりだ。追撃はしない。警戒を保ったまま、陣形を維持しろ」


「了解!」

 各所から返事が上がる。


 フィオラは剣を収め、額の汗を拭った。

「数は多かったけど……思ったより消耗は少ないわね」


「人数集めた判断が正解だったな」

 ガルドは周囲を見渡しながら言う。

「単独で当たってたら、どうなってたかわからん」


 陽介は弓を下ろし、ゆっくりと息を整えた。

 腕は重いが、まだ力は残っている。


(……終わったんだ)


 実感が遅れて、胸の奥から込み上げてくる。

 恐怖ではなく、達成感だった。


「陽介」

 ガルドが声をかける。

「後衛、よくやった。命中率、かなり安定してたぞ」


「ありがとうございます」

 陽介は素直に頭を下げた。

「数が多くて……でも、狙いはつけやすかったです」


「いい弓手になってきたわね」

 フィオラも微笑む。


 アイリスは腕を組み、少し得意げに言った。

「当然でしょ。私の索敵と連携してるんだから」


「はいはい」

 陽介は苦笑した。

「アイリス様のおかげです」


「わかってるならいいの」


 そのやり取りに、周囲の冒険者たちから小さな笑い声が漏れた。



 しばらくして、討伐隊は完全に警戒を解いた。

 残党もなく、森の縁は静まり返っている。


「村の方は?」

 誰かが尋ねる。


「無事だ」

 ガルドが即答した。

「避難も間に合ってる。被害はなし」


 その報告に、安堵の声が広がった。


「よく守り切ったな」

「これだけの数を相手にして、死人なしとは……」


 陽介は遠くに見える村を見つめた。

 いつも通りの風景が、そこにある。


(……ちゃんと、守れた)


 胸の奥が、じんわりと温かくなる。


「よし」

 ガルドが討伐隊に向けて言った。

「撤収だ。村に報告して、街に戻るぞ」


 誰も異論を唱えなかった。


 魔物の群れは止められた。

 村は守られ、討伐は成功した。


 それ以上でも、それ以下でもない。

 確かな――勝利だった。


第31話では、魔物の群れとの戦闘を完全に終結させました。

大きな被害もなく、判断は正しく、連携も機能しています。


「人数を集めて当たれば、問題ない」

そんな実感が、討伐隊の中に残りました。


次回は帰還回。

勝利の余韻と、美酒に酔うひとときをお届けします。


ここまで積み上げた安心を、どうぞ一緒に味わってください。

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