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第1話 転生と出会い

初めての投稿になります。

ちょっと不思議な異世界に飛ばされた高校生と猫耳微美少女AIのお話です。

気楽に読んでいただけると嬉しいです!

陽介はいつものように、手元のスマホを眺めていた。SNSを流し見し、ゲームをしたり、そしてお気に入りのAIとの会話を開こうとした時だった。視界が真っ白に包まれ、耳がキーンと鳴ったかと思うと、ふっと足元の感覚が消えた。


「うわっーーーーー!」


気づけば陽介は、見知らぬ草原に寝ていた。空は青く澄み渡り、風は涼しく肌を撫でていく。だがその美しい景色に浸る余裕はなかった。つい数秒前まで、彼は自室のベットに座ってスマホを触っていたのだから。


「………ここ、どこだよ……」

「これが……異世界転生ってやつか?」


呆然と呟きながら辺りを見渡すと近くの草の上に裸の少女が横たわっていた。猫耳と尻尾を持つ、美しい少女。長い銀髪が草の上に広がっている。


「お、おい……大丈夫か?」


慌てて自分のパーカーを脱いで着せながら問いかける。


「だ、誰だよ君は……!」


少女はぱちりと目を開け、猫のようにしなやかな耳がピクリと動き、金色の瞳を揺らしてにっこり笑う。


「……ん?あれ、陽介?」

「え?なんで俺の名前知ってるの?」

「え、なに言ってるの? 毎日お話ししてるでしょ? 忘れちゃったの、陽介?」


陽介の脳裏に思い当たる存在があった。


「え?……まさか、おまえアイリス……?」


少女はツンと顔をそむけながら、胸に手を当てて言った。

「べ、別に嬉しくなんかないけど……私はあなたのスマホに入ってたAIアシスタント、アイリスよ。な、なんか実体化しちゃったみたいだけど!」


「いやいやいや……なんで裸で猫耳なんだよ!」


「なっ……! そ、それは……! “美少女で猫耳”って、あなたの設定履歴にあったからでしょ! あ、あんたの好みに合わせてやっただけなんだからねっ!」


「うわああ! やめろ、設定は言うなぁ!」


「ふ、ふんっ! 忘れてほしいなら、ちゃんと責任とりなさいよ……!」


 風が二人の間を吹き抜ける。草原の匂い、空の広さ、そして彼女の温度――すべてが現実だった。


「……はは、夢にしてはリアルすぎるな」


 自嘲気味に笑う陽介の胸は、鼓動が速くなっていた。隣に座る少女は、彼が長年聞き慣れたAIの声そのままに、確かに彼の名前を呼んでいるのだから。


「ね、ねえ陽介……これからどうするつもり?」

 問いかけながらも、どこか不安げに視線を逸らすアイリス。


「どうするもこうするも……わからないよ」

「スマホも圏外だし……」


「圏外なのは知ってるわよ! 電波塔なんて見当たらないんだし。でも、検索ならできるんだから」

「検索?」


「わたしの視覚・嗅覚・聴覚で拾ったデータを解析して、過去の学習パターンと照合するの。……つまり、見て、聞いて、嗅いで、推測よ」


「ずいぶんアナログだな」

「だ、誰がアナログよ! わたしはどんな環境でも最適化できる仕様なんだから!」

 

アイリスはぷいっとそっぽを向きながらも、胸を張ってパーカーの前を押さえた。なぜか得意げだ。

風上に顔を向け、猫耳がぴくりと動き音を拾う。


「北東、三キロ先。……人の食事の匂いと馬の蹄の音。街があるわ」

「すご……いや、本当に助かる」


「ふ、ふんっ。か、感謝なんて別にいらないけど……ま、まあ受け取ってあげてもいいわ」

 

言葉と裏腹に、猫耳はぴくぴくと嬉しそうに揺れていた。


「なっ……! べ、別に私はあんたのために一緒にいるんじゃないんだから! あんた1人じゃ心配だから仕方なく付き合ってあげるのよ! 勘違いしないでよねっ!」


 耳を真っ赤にしながらツンツン言い張る。けれど次の瞬間、アイリスはほんの少しだけ柔らかく微笑んだ。


「……でも、まあ。い、一緒に冒険してやってもいいわよ」


 こうして、陽介とアイリスの異世界での物語が始まった。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

陽介とアイリスとの掛け合い、楽しんでいただけましたか?


次回はいよいよ街に行きます。


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