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40話 ミュラー逃亡劇①

新章開幕です。


お待たせしました。


シリアスなサスペンスになります。


バトル満載です!

 

 俺は稼いだ金で、ルカとの逢瀬を続けていた。


 そんな時ある事件が起きた。


 俺が通う娼館の中の美姫が身請けするという話を耳にした。


 すぐにルカのことが頭によぎった。


 身請けの話はルカにもきていたそうだ。

 俺は店の執事にルカの身請け代を聞いた。


 金貨500枚であった。


 大金だ。節約して、貯金をするということもできたが、ルカと会えない日が続くなど考えられない。

 

 俺はすぐに一攫千金を狙った。


 すでにカジノは出入り禁止にされていたので賞金首を狙うことにした。


 マルジェラは論外だ。

 強さの高みに至った今なら分かる。

 あの魔女のまるで天高くそびえ立つ塔のような強大な力には、まだ俺は及ばない。


 俺は賞金首を探した。


 いつも世話になっている口入れ屋から紹介された依頼で、とある要人を暗殺することになった。


 なんでも外患誘致の罪人で殺されても文句は言えない人物だということだ。


 依頼内容はそいつを確実に殺し、所持している小刀を回収することだった。

 おそらく殺した証明として必要なのだろう。

 以前生首を持ってきたら驚愕してたからな。

 何より報酬が魅力的だった。


 金貨1000枚。


 破格の賞金だ。そんなにやばいことしたヤツなのかと聞いても、口入れ屋は何も答えなかった。

 危険度についても問題なかった。

 数人の護衛は連れているがそこまで凄腕の人物ではないらしい。

 しかし国の要人なので、姿は見られないこと、しばらく外に顔を出さないことを勧められた。


 知らん、サーチアンドデストロイだ。


 ルカのためなら、アジムートすら殺してやる。


 ターゲットの名前はフランツ、眼鏡をかけているらしい。


 眼鏡をつけてるヤツを皆殺しにしてやる。


 一応人間違いだと可哀そうだから、名前は確認しておこう。


 小刀を持ってれば正解だ。



  

 夜更けの貴族御用達のバー、俺は目的の人物が出ていくのを待つ。

 口入れ屋の話ではここで飲んでるらしい。

 俺は待った。

 雨が降っても待ち続けた。

 出入りする連中をよく観察する。 

 派手な女を侍らせてる貴族もいれば、軍服をきたガタイのいい男たちもいる。


 さてどこで始末すべきか……。


 馬車で逃げられたら厄介だ。


 予めニワトリにアナコンダの精力剤を飲ませておいた。


 これで身動きできまい。


 しばらくすると、眼鏡の男が現れた。

 護衛はいなかった。

 人違いかもしれないな。

 念のため名前を聞いておこう。


 眼鏡が馬車に乗ろうとするところで声をかける。


「フランツか?」


 男は不思議そうな顔で振り返った。


 刹那、俺は剣を抜き放ち、眼鏡の首が宙を舞う。


 躊躇いはなかった。


 本人じゃなければ振り向きなぞしないだろう。


 すぐに、男の死体から所持品を確認すると小刀を見つけた。


 正解だ。


 周囲を確認する。

 誰もいない。

 バーにも人の気配はなかった。


 後は帰るだけだ。


 雨音だけが響き渡っていた。




 俺が足早にその場を立ち去ろうとしたら、背後から声が囁く。


「誰の依頼ですか?」


 後ろをとられた俺は不覚をとった思い、すぐに距離を離し、振り向きざまに剣を構える。

 背丈は俺ぐらいかやや中性的な整った顔立ちの青年が立っていた。

 茶色の髪をストレートに伸ばしているのが印象的だ。


 笑っているのか、微笑んでいるのか、よくわからない不気味な目が印象的だ。


 そいつも俺と同じように男の死体の衣服から何か探しているかのような動作をはじめた。探しながら、穏やかな声色で聞く。


「文書はないようですね……」


 刹那、後頭部に衝撃が走る。


「ロゼ、こいつは文書を持っていないだろう、始末しよう」


 不意打ちを食らってしまったか……。

 ……もう一人いたのか……。


 眼前には長身の男が立っていた。

 そのガタイと挙動でわかる。

 こいつは戦闘をするヤツだ。

 多分脳筋タイプだな。

 顔がジラールに似ている。

 歳はそっちの暗そうなヤツとおなじくらいか……。


 対峙する両者、お互いに思っていることは同じだった。


 姿を見られた、なら殺すしかない。


 雨が止み、空から月夜に照らされて、茶色の長髪から不気味な表情を覗かせながら、静かに、そして強い殺意を込めて青年は冷たく囁く。


「リヴァ、始末しなさい。あまり騒ぎを起こさないように……」

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