未練
どのくらい想っていたのだろうか
一途と言えば聞こえはいいだろうが、
執着と言えば悪いことのように感じる。
人によって感じ方は様々だろう。
ある程度周りに好かれている人であれば
純粋で綺麗な恋と感じ、
その反対であれば
気持ちの悪いストーカーのように感じる。
私はどちらになるのだろうか。
好意を向けられてみないと分からない。
とある人に連絡をとり、ご飯に誘った。
しばらく前からいいなと思っていた人だ。
今までは知り合い、クラスメイトとしてしか
関わっていなかった人である。
お互いに顔を知ってはいても、
プライベートな話はしない。
そんな関係だった。
卒業してから顔を合わせることがなくなり、
よく連絡したなと自分でも思う。
相手はマメな性格もあり、
毎日返事を返してくれていた。
「今日は何した。」
「この前こんなことがあってね。」
よく自分のことを話してくれていた。
すごく話しやすかった。楽しい時を過ごせた。
今までなぜ話さなかったのだろうと思うほどに。
私にとって初めての異性の友達だった。
相手は異性慣れしていたが、
異性の友達は少ないと話していた。
本当かは知らないが。
同じクラスだった頃は、
相手が異性からモテているのは薄々感じていた。
だからこそ誰も手を出さず、
お互いに牽制し合っているのが分かった。
自分は一度も恋愛を経験していないため、
とりあえず恋人は無理でも異性の友達がほしいと思った。
また、遊ばれるなら
知り合いで異性に慣れている人の方がいいと思った。
最初はみんなでご飯に行く予定をたてていたが、
都合つかない人もいたので延期となった。
みんなで会う時を待ちきれずに
私は平静を装い2人きりのご飯に誘った。
相手は気軽に了承してくれたが
どう思っていたかは知らない。
嬉しさなのか、戸惑いなのか。
でも、何とも思わない人と
2人で出かけるような人ではないことを分かっている。
自分は周りから見たら素直で分かりやすくて
扱いやすいと思う。
ただし、自分では
気持ちを押さえ込んでいるため
この気持ちが何であるのか
分からなくなってしまうほど
鈍感だとも思っている。
相手は頭が回るので気付いていたのかも知れない。
「ご飯」という名の「デート」だったことを。
私だけが気付いていなかった。
私は2回ほど「ご飯」に行った。
自分は会っている間も「好きなのか」を自問自答し、
食べ物をシェアする、やりたいことをお互いに話すなど
穏やかでちょっと緊張する非日常を経験した。
好きな人と言っていいのだろうか。
毎回無事に帰れたかどうか心配してくれた。
会うたびに好きになって行くのが分かった。
いや、会うたびにというと語弊がある。
会えない間に好きの気持ちが大きくなり、
会いたい気持ちが募っていったというのが正しい。
会えない間も連絡は途切れなかった。
普段は異性に使わない
ハートを文面に入れることもあった。
「今日あったこと」「催し物でこういうのやった」
「友達とこんなご飯食べた」
などのお互いの近況報告をし、「今度一緒に行こ」
と言われたこともあった。
私は先の予定を決めることで
生きる希望を見出していた。
ある時、みんなでご飯に行くことになった。
その時も「一緒に会場まで行こう」と言ってくれた。
優しい笑顔、優しい声、相手の全てが
私の心を弾ませていた。
みんなで集まったときは
今まで一切触れなかった恋愛の話もするようになった。
相手には付き合っていた人がいたらしい。
過去形である。
会う頻度が合わず、別れてしまったとのこと。
どのような気持ちで聞けばいいのか分からなかった。
また、同性の友達と
こそっと「今度告白したいんだよね」
というような内容を話しているのが聞こえた。
私は聞かなかったふりをした。
しばらくして
相手のInstagramに
異性とご飯が写ったストーリーが上げられていた。
いわゆる匂わせである。
その時も私は相手と連絡をとりあってはいたが、
ストーリーについて言及はしなかった。
そのうち話してくれるだろうと思いながら。
その後、私はみんなでご飯に行った中の
一人と遊ぶこととなった。
その時、例のストーリーについて
本人に聞いた内容を話してくれた。
気になっていた人とご飯に行ったらしい。
私には話してくれなかったのに。
そのうち話されるよとフォローされながらも
落ち込んでいるのがバレないよう普通を装った。
帰ってから一人で泣いた。
連絡をとっていた内容を思い返すと、
それっぽいのが浮かんでくる。
私は気付かなかっただけなのである。
ほんとうに最後まで。
相手とは連絡をとりつつも、
核心には触れずにやり過ごしていた。
とある日、季節のイベントのストーリーがあがった。
相手がひとりや同性と一緒の時には絶対にしないこと。
また匂わせか。と思いつつ、
さすがに本人に聞こうと思った。
「ストーリー見たよ!友達?恋人なの?」
「恋人できた」
やっぱりと思いつつ
素直に喜べないまま「おめでとう」と返す。
自分のことは本当に友達としてしか
思ってなかったんだろうな。
「恋人がいるのに自分と毎日連絡をとるのはどうなの?」
イラつきと悲しみを相手にぶつけてしまった。
相手も困っただろう、めんどくさいと思っただろう。
「自分の人生なんだから好きなようにしていいと思う。」
そっか。
自分は反論する気もおこらなかった。
相手が好きな人にどう思われようが構わないんだな。
私はしばらくして連絡をとるのをやめた。
そういう人だったんだなと思う。
たまに気が向いて私が連絡すると返信してくれる。
また、たまに相手からも連絡がくる。
このくらいの気軽な関係性が1番いい。
ただ、恋人がいるのに異性の友達に
ご飯に行こうと誘うことはどう思っているのだろう。
本当に友達としてしか思ってないのはいいのだが、
付き合っている人の気持ちを蔑ろにしてはいないか。
自分は今どんな気持ちなんだろう。
誘われては嬉しいが、
付き合っている人のことを考えると
それはないだろ。と思ってしまう。
たまに連絡がくるのがめんどくさいとすら感じる。
連絡がないとそれはそれで寂しく感じる。
私はどうしたいのか。
自分のモヤモヤを書いております。