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第7話 子分と共に

 

 カサンドラが子分と騒いでいたあいだに、ワープで目的地に着いていたようで、周りで慌ただしく救助の準備が行われている様だ。

 そう感じたカサンドラは、子分に、

「状況はどうなっているか分かる?」

 と聞くと、

 [ルーク様達が~~戦闘準備をなさっています~~敵の第13銀河の軍艦が近くにいます~~カイ様の軍艦は~~目くらましのシールドを掛けていてまだ感付かれてはおりませんから~~奇襲を掛けるもようです~~]

「それに、双市朗は捕まっているんだね。あたし達も加われそうな感じ?」

 [カサンドラ様をお連れして~~わたくしめも~加わりたく~ぞんじます~~]

「じゃあ、カイ達の所に二人で行こう。付いて行くって言わなきゃ」

 カサンドラが慌ててカイ達の所に行こうとすると、イヴは、

「あたしも行きたい」

 と言って付いて来た。

 カサンドラは、そうは言っても、今のイヴには戦闘機は無理じゃないかと思えるし、と思っていると、ルークに会い、ルークが言ってくれた。

「イヴは、残っていた方が良い。カイも軍艦どうして戦闘になりそうだから、残るよ。俺らは、奴らに逃げられる前にあっちに乗り込むから、シールドを掛けて出発する。カサンドラの子分が操縦できるなら戦闘機を出すから、一緒に行こう。子分の声が必用になるよ。敵は大勢だから」

 カサンドラは、なるほどと思い、ルークについて行った。振り返ると、イヴが不満気に見ていた。

「きっと、双市朗は連れて帰るから、待っていてね。今度こそ助けるから」

 カサンドラは、イヴに、そして自分自身に誓った。戦闘服を貰って着用し、ルークについて行くと、格納庫には他の戦闘員達が、大勢最新型戦闘機に乗る準備をしていた。

 皆、急いでいる様だが、カサンドラ達に気付き、

「崋山が戻って来たのか」

 そんな声が聞こえた。知っている人が居るらしいが、生憎カサンドラは忘れている。

 曖昧にひらひらと手を振って誤魔化し、ルークに教えられた戦闘機にそそくさと子分と乗った。第3銀河人よりかなりガタイの大きい子分であるが、最新型は連合軍の共用サイズらしく、十分スペースは取ってあった。第3銀河人には3人乗れそうなスペースの気がしたが、イヴには内緒にしておくべき件とカサンドラは思った。乗って機器を見ていると、不思議とビームの使い方は見当がついた。不思議なので、

「子分は、あたしとコンタクトとかできるの」

 と聞いてみると、

 [いえ~いえ~恐れ多くて~~。カイ様が~カサンドラ様にお知らせのご様子です~~]

 と言っている。

 へえ、と思ったカサンドラだ。カイの能力も驚いたが、今の言い様では、子分も誰かとテレパシーで会話できていると言う意味ではないのか。恐れ多くはなく会話しているのは、誰となのだろうか。少し疑問を感じる。子分の能力は親分のカサンドラにも未知の領域が多々ある。

 カサンドラがあれこれ考えている間に。皆、出撃した。シールドがあっても、敵の戦艦に近付くと感付かれ、敵の戦闘機が出て来た。カサンドラは何となく撃ってしまっていた。無意識の様であったが、段々命中するのが自分でも不思議である。これが取柄と言えるだろう。粗方撃ち落とし敵が居なくなってくると、カイが戦艦の入口を攻撃し出した。ぽっかり穴が開き、皆で入って行く。すると中の入り口付近に敵達が揃っていて、戦闘機に攻撃し出したが、カサンドラは、ビームでひとりひとり倒していった。中はあまり壊してはいけないのではと思っていた。何せ、何処に双市朗が居るかは分からない。間が悪くて、彼が怪我をする可能性は避けなければと思った。それでひとりひとり撃っていたのだが、かなり素早かったので、カサンドラの戦闘機を反撃されることは無かった。そしてほぼ全員片付けて、戦闘機から降りる事が出来るのではないかと言える状態になった。ルークが、

「カサンドラ、降りてみようじゃないか」

 と言って来たので、子分は空いたスペースに戦闘機を下ろすことにした様だった。他の戦闘員は死体の上にじゃんじゃん降りていたが、子分はカサンドラに気を使ったようである。

 辺りは、カサンドラが自分でやったとは自覚してはいたが、散々な悲惨な死体だらけだった。

「うわぁ」

 と言いながら手を口に持って行くが、ヘルメットで、えずく訳にもいかないと分かった。

 誰かが、

「崋山の参加で、俺等のやる事あまりなかったな」

 と言っている。他の誰かも、

「だけど本人は今、具合が悪そうだから、これからは俺らの出番じゃあないかな」

 とも言っている。生憎カサンドラは誰が誰だったかは記憶に無い。スルーしておくしかない。みんな気にせず、中に進んでいる。カサンドラは、後ろから子分と付いて行くことにした。子分と話してみる。

「皆、崋山のこと覚えているのは変と違う?」

 [カイ様や~~ルーク様が~~覚えていらっしゃいましたから~~噂を思い出した方が~新人類の中に~おられます~~カサンドラ様にとりましては~崋山様の時にも面識のない方ですから~~カサンドラ様が~ご存じなくても大丈夫で~ございます~~]

「ふうん」

 崋山の時なら、あの失態をまた思い出し、たじろく場面のはずだが、都合の悪い事は、なお一層覚えのないカサンドラの、気の無い返事である。

 その時、前方が騒がしくなった。

「敵に鉢合わせしたな。子分、前に行ってみよう。ノックダウン必要だったらやってね」

 さっさとノックダウンの命令をしたカサンドラは、良い指示だったと言えるだろう。子分は、これもさっさとノックダウンの声を出した。

 二人で急いで前に出てみると、倒れている大勢の第13銀河人の中に、何故だか一人、声が効かなかったのか、不敵に笑って立っている・・、そんな感じに見える奴がいた。

「げっ、子分の声が効かない奴が居るの」

 カサンドラが、小声で子分に言ったつもりだが、

「そうだよ。もう、そいつの声は、あの子に浴びせられて、見切ったからね。おや、お前はあの子の親の崋山じゃあないか。なるほど、第3銀河には仲間は本当に行っていない様だな。偽りの噂は無かったからな。それで、カサンドラのままと言う訳なのか。あの子を誘ったのは間違いではなかったな。誘わなければ、実際消滅していたのか」

 そいつの文言で、カサンドラは思い至った。自分で、今日はやけに頭が冴えていると思った、カサンドラである。

「そう言うお前は、さては、あの時のアメーバもどきだな。なんで爺さんは殺さなくて良いなんて言い出したんだ。そうか、タイムマシンで画策して、連合軍を負かすつもりなんだな。そうはさせるもんか。あ、そうだった、双市朗を返せ。あ、さては環をさらったのはお前だな。環も返せ」

「おやおや、何を愚かな。環はタイムマシンに入れて置かなければ消滅していたのに、感謝されても、恨まれる筋合いなどない筈」

「過去を変えなければ、そんな心配は無いだろ。過去を変えるのは重罪だ。第22銀河が復活したところで、罪状で連合軍にまた滅ぼされる事になるのは、文句は言えない筈。お前の星の奴らは、きっとお前のせいで一蓮托生で滅ぼされたって、恨んで死んでいくのと違うか。利口そうに見えて、頭悪いのと違うか、元もどきの圭」

 言いたい事を言ってやったカサンドラだが、環を取り戻す前に、アメーバもどきの癇に障る事をしゃべってしまった事に気付いた。相手はかなりの御立腹と見た。横で、ルークのため息が聞こえた気がする。ピンチである。しかし、頼りがいのある子分が居る。

 [それでは~これは聞き覚えはあるでしょうかぁ~~かはぁ~~~かはぁ~~~かはぁ~~~]

 カサンドラは、何をしてくれているのかと期待して、子分の活躍に任せていると、元もどきの圭は、

「双市朗はこちらです。環の行方は、前もってセットした時間に戻って来るはずです」

 と言いながら、双市朗の所へ案内する気らしい。カサンドラは、子分を見て、また、

「大好き」

 と言っておいた。実際、大好きになって来た。前のは実のところ、おべんちゃらを言ったといえたが。


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