表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/15

第12話 龍昂の策

 

 カサンドラはタイムマシンに乗ったものの、理屈がイマイチ理解できず、こっそり子分に聞いてみた。

「ねえ、子分。今から行く未来には、あたしらは居ないのよね。タイムマシンに乗った時点で、実際の世界には居ないよね。そして、環も今までは居ないんだけど、環は戻って来てマシンから降りたままで、過去が変わったら、消えたりしないよね。あたしらが、あいつを殺しに行く時に、また過去が変わるから、環が消えないか心配で又連れて行っても、そこには過去の環が居るから、二人になるから連れていけないのかな。ククンさんは、タイムマシンで時空の狭間に行った人同士が二人になる場合とかは、どうなるか言わなかったよね」

 [そうでございますね~あの理屈では~未来が優先では~カサンドラ様と一緒に居る~環様だけになる事と思います~~お連れした方が安心かもしれませんが~~]

 子分も気がかりらしい。

「だよね」

 カサンドラ達の会話を聞きつけたイヴも、

「そうだね。あたしらが過去を変えたら、またどういう変化が起こるのか分からないもん」

 と言っていると、カイが、

「だが、定員は超えないのかな」

 とムニン22’さんに確かめた。

「まだ超えないと思います。こういう懸念もありますから、先ほど元統率は乗らなかったのです。2台ありますから、カサンドラさんにとって消えて欲しくない人は私と従兄弟で、移動して、タイムマシンに乗せておきましょうか。用心の為、そしてどこかに位置を決めて落ち合いましょう」

 双市朗が、

「そうだ、カサンドラの失いたくない家族は、この際ムニン22’さんに頼むべきだ」

 カイも、

「さしずめ、ぺネロぺさん一家と、龍昂爺さん一家じゃないかな。人数的に言って」

「でも、カイの家族は」

「ルークが助かれば、後は運に任せるさ。あいつがもどきに変わったのが、我慢できないだけだな」

 カサンドラは、それなら定員の事もあるし、第二の地球にいる家族しか乗せられないと思って、

「じゃあ、ムニン22さん達は、龍昂爺さん達や、ペネロペ一家をお願いします」

 と頼むことにした。そして思い出して、

「イヴ、ペネロペも双子の女の子を産んでいて、名前をジェイドとアゲートにしているよ。あたしと相談したわけでなく。あたしに相談されてもその時は前の事、憶えていなかったし、不思議ね」

「わあ、鳥肌が立ちそう。生まれ変わりじゃあないよね」

「似たような年回りよ。生まれ変わって来たのかとか、聞くわけにもいかないでしょ」

「今度会ったら、聞いてみたいね」

 イヴが言うので、カサンドラはその事は彼女に任せようと思った。今は環の事を考えておかないと、まさか嫌だとか言わないよね。と考えていると、子分が、

 [環様は~ムニン22’’様に~お任せされてはいかがでしょう~~]

 と言い出すので、

「子分、気が利くね。あんたと生涯を共に過ごしたいね。実際」

 カサンドラが、思わず言うと、

 [恐れ多い事を~~~]

 『子分、今の話を本気にしてないかな』とムニン22’’さんが懸念していた事は、カイしか気づいていない。

 タイムマシンで目指す時空点に到着すると、ミアお婆ちゃんがあっけにとられて光の球を見ている。無理もない。皆でどやどやとタイムマシンから降りて来ると、開いた口がふさがらない感じだ。

「あれまあ、カイ。あんた無事だったのね。良かった。ルークがもどきに変わっているけど、あたしがどうこう言っても危険だから、分からないふりをしておいたのよ。テレパシー能力を擬態していても、本当の人間のブロックは見抜けない様ね。皆は、カイは戻ってくると信じていたの。それにしても、大勢でそんな小さな球に良く乗れたものね」

「タイムマシンだよ。婆ちゃん。それから、ほら、崋山がカサンドラのままだと言っていただろ。この人だよ」

 カイに紹介されたカサンドラは、ちょっと照れた感じで笑って、

「ミアさん、お久しぶりとは言えないけど、初めましてとも言えない感じのカサンドラです」

 と挨拶しておいた。

「まあ、噂で聞いていたけれど、パパがやっきになって、策を練って居たはずね」

「え、どういう事ですか」

「あら、ちょっと口が滑ったみたいね。滑りついでに、言っておこうかしら。パパ、あんた達の龍昂爺さんは実際の所、あなたがズーム社に酷い目に合った事を知ってからは、随分悔やんでいたのよ。あの時、パパがあたし達に再会して分かった、ママとあたししか知らない事。あなたの事を考え出したら、悔しいらしくてね。夜も寝られないらしかったわね。自分が助けに行かれなかったでしょ。月日が経ってもそんな感じだったわ。第2の地球に来てから、そのうち、パパは敵の残党が、タイムマシンで過去を変えに行く事を計画していると察してね。実行に移す前から分かっていたの。でも重罪になるでしょう。それに、どうすれば勝てるか、彼等は思案していると分かったの。パパも思案して居たわ。ママとあたしは呆れていたけど。そしてあの中務圭に化けたもどきを、残党と取り引きをさせようと、その噂を教えたの。そしてあいつを泳がせていたのよ。危険な奴とはわかって居たようだけど。そしてもどきは、タイムマシンで故郷の滅亡を無かった事にするなら、キャプテン・ズーになって、その能力で戦争に勝利すると言う事を取引していたの。でも、もどきがうまく結果を出せない事は、子分の予知能力で教えてもらっていたのよ。ところが、ルークが犠牲になったから、パパにどうするつもりか聞いたら。カイがタイムマシンでもどきを倒しに行くって言っていたわ。で、これが噂のタイムマシン?凄いわね」

 ミアさんから驚愕の事実を知ったカサンドラ。

「そう言えば爺さん、敵を何時も泳がせて利用していたっけ」

 と、納得したのだが。

 納得して居たのはカサンドラだけで、イヴや双市朗はそのすごさに感心した。

「泳がせていたのか。しかし、龍昂さんも、さすがだな。身内の利益第一で、他は知ったこっちゃないのがはっきり分かったね。凄いや」

「ほんと。カサンドラは愛されていたのね。ズーム社にやられなかった事になるなら、他の変化はどうでも良かったのね。それに、地球だって無事だし」

 ムニン22’’さん達は、

「この話は、聞かなかった事にしないと」

 と呟いていた。

 カイは少し嫌な気分がしていたが、今更爺さんがえこひいきしていると妬んでも、仕方ないと諦めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ