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第9話 カサンドラの思い付き

 

 カサンドラや皆は、何とか双市朗は助けることが出来たものの、ルークを失うと言う手痛い犠牲を払ってしまった。

 双市朗は、

「カイ、俺なんか助けに来る必要は無かったのに。何だか居た堪れない。すまない」

 ぽつんと呟くようにカイに謝った。

「何を言い出すんだよ。俺らがヘマしたんだ。双市朗の責任とかないし。知らなかったみたいだけど、お前は以前のあの時分のルークに、初めてできた親友だった。ルークは、イヴやカサンドラ以上に双市朗を助けに行く事には、一番使命感があったんだ。だけどあいつがあれほど強い奴とは、想定外だったな。俺らの力負けだ。くそう、どうするかな」

 悔し気に俯くカイに、横で二人の話を聞いていたカサンドラは、慰める言葉は思いつかなかった。ただ、疑問を思わず話し出した。

「龍昂爺さんは、あの時、どうしてあいつを殺さなくても良いなんて言ったんだろ。弱そうにしていたあの時がチャンスだったのに。それとも、あれは化けていただけで、本当は違ったのかな。殺すのは無理だったのかな、崋山の時でも。そうだ、あたしも、タイムマシンに乗って、奴が弱い時に、殺しに行けばいいんだ。環は、後4年で元の場所に戻って来るんだ。環としては、キャプテン・ズーを弱い時に殺しに行ったつもりだろ。本当はあいつが取って代わったみたいだけれど。そして奴は、もっとうまく戦って勝つ気なんだな。こっちだって、環の乗って帰って来たタイムマシンで過去に行こう。そして、ひょろ付いた若い頃のあいつを殺すんだ。子分、タイムマシンは運転できそう?」

 [運転技術を~~知っている人は~~乗っておりますかね~~どうでしょう~~]

 子分は懸念があるらしい。子分は、テレパシーで運転技術を習得するので、もどきの圭の奴が、戻って来るタイムマシンには居ないと言う事は事実だから、無理なのかもしれない。戻りは自動運転と思える。

 カサンドラは悩みだしていたが、カイはそうではないとみえて、元気が出てきたようだ。

「良い案だ。カサンドラ。敵の銀河の奴らは、以前からタイムマシンは開発していたそうだ。環が戻って来るまでに、それを調べておくべきだな。そして、奴を殺しに行く。そうすれば状況は変わって、ルークは死なない筈だ。だが、どう状況が変わるのかは、分からないけれど。結果は見当が付かない。あいつは重要人物だろ。俺等、重罪人になる可能性があるぞ」

 カサンドラは、

「一度は地球を滅ばされたあたしらなんだ。なんか不都合があっても、知るもんか」

 カサンドラの思考回路が、あいつ等と同じようになって居ないだろうか。子分はそれに、気付いていた。しかし、親分のカサンドラにどこまでもついて行く覚悟の、子分ではある。

 子分の故郷の星に着いたが、希望が湧いて、意気揚々として来たカサンドラは、子分に、

「あたし達、長居はしないんだから。子分、皆にそこんところ納得させてね。訳は言わないでよ。やばい事を始めるつもりだから、皆さんは、知らなかった事にしておかないと。お世話になった上に、迷惑をかける訳にはいかないし」

 子分は、女王様達にはテレパシーで知れ渡っている事は、言わないでおこうと思った。親分には、必要のない心配をかける訳にはいかないのだ。


  子分はスティーションと思しき施設に船を下ろした。カサンドラ達には見分けのつかない第20銀河星人の面々が。大勢お出迎えだった。

 カサンドラは前の記憶が、蘇って来た。『こういう場面、前にもあったっけ。そしてあの人達は、きっとこの中に居るはず』そう思って見回すと、何故があの二人を、認識した。ククンさんと、クーククさん。クーククさんは王子様だった。良いもの着ている感じ。女王様も横に居る感じ。自分でもよく認識できていると思って、満足した気分になっていると、カイに、

「向うから、自己紹介されているぞ」

 と、訂正された。カサンドラははっとする。『あたしらが、犯罪者っぽくなる事、分かっているんじゃないかな。何だか迷惑になりそう』と心配になると、カイは、

『あの方たちは、俺等に味方してくれるそうだ。連合軍は第20銀河人に文句をつける勇気は無いな。かないっこないんだ。あの声があるから』

『なるほど、だけど、もどきの奴は、一度聞けば見切るって言っていたよ』

『それは近頃の事だろう。年食う前は、見切れなかったはずだし、色んな能力が弱かったはず。だから君は、タイムマシンで過去に行く事にしたんだろう』

『そうだね、若い時は子分の声が効くよね』

 自分で思いついたのだが、カサンドラはこのアイデア、名案だったんだと、思い知った。

 皆で船から出てみると、女王様は、

 [カサンドラ様~~なんとお美しいお心~~そしてお姿~~神々しい方~~また一段とお美しくなられて~~眼福~~眼福でございますわ~~わたくしファンですの~~またお会いできて~こんな嬉しいことは~ございませんわ~~]

 [母上さま~~ファン歴は~~わたくしの方が~~長いですからねぇ~~私が先におそばに参ります~~わたくしが先に御挨拶いたします~~]

 [まあ~~生意気でございますわよ~~ほんの少しの~~ファン歴の差です~~ここは年齢順ですわ~~]

 言っている事はカサンドラにはわかって居て。居た堪れなくなってきたが、カイ以外は分かって居ないので、此処は何とかやり過ごしたいところだ。

 イヴは、

「あの人達、歌いながらなんか揉めているという、すごい技やってない」

 等と言っている。

「いいのよ。ほっといてあげて。・・・あのう、わたくしとしては、ご一緒でお願いします。初めましてではないんですよね。覚えておいでの様ですね。この度、カサンドラで、参りましたの。どうぞよろしくお願いします。この度は急に伺いまして、お世話になります。御迷惑をおかけしなければいいのですが」

 [ああ~迷惑等であるものでしょうか~~わたくしたちにとって~~カサンドラ様の敵は~~わたくしたちの敵でもあります~~わたくし達が~今までに~~聞き覚えて~~心に止めておきましたこと~~全てお知らせいたしましょう~~]

 女王様が興味深いことをおっしゃられた。

「何か情報があるのですかっ」

 その言葉に思わず食いつくカサンドラである。皆、はっとする所だ。

 [えぇ~~えぇ~~では一先ず~皆さま宴会場へ~~]

 子分が気の毒気に、

 [宴会ですぅ~~カサンドラ様~~心苦しい~限りですぅ~年寄に~~お付き合いいただけるとは~~恐縮~~至極~~]

 子分の心憎い言葉で、一先ず宴会に参加するしかないと思うカサンドラである。

「皆、一先ず宴会だって。きっと美味しいもの出してくれるんじゃない。多分、気分が上がると思うよ」

 と、取りなした。

 皆で、第3銀河環境になっている宴会会場に行く事となる。カサンドラは、第20銀河星人は大方どんな環境にも適応できるとはいえ、大掛かりな会場をこちらの環境に合わせて作るとは、かなり本気のおもてなしと思う。急な訪問なのに。とは言え、段々カサンドラは、彼等が未来予知ができるという、以前の崋山の時に思っていた記憶が戻ってきた。

 イヴがカサンドラと同じように思ったようで、感心しているので、カサンドラは、

「あたし、こっちに来たら割と細かい事迄思い出したよ。あの人達は未来予知が出来るらしい」

 と言うと、イヴも、

「そうだった。前に、女王様に『御武運を祈っている』とか言われたんでしょ。それってきっと、キャプテン・ズーとの戦いの事だったろうと、あの時私も思った。今度はもっと具体的に教えてくれると、有難いよね」

「うん、うん。誰がタイムマシンの操縦方法を知っているかとか、何時、あいつをやっつけられそうかとかね」

 カサンドラは期待して、教えてくれるのを待つ事にした。




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