ボレアス②
「アイツ、カズヒコっていうのか。アイツの名前を知ってるってことは…お前らアイツの知り合いだな?」
「あ、ああ。そうだ。」
ジェイマーの答えにボレアスは満足気に頷いた。
「よっしゃあッ!なぁ、その…なんだっけ、カズヒコ?がどこにいるか知らないか?」
「ちょ、ちょっと待って、ボレアスさん!」
「あ、俺のことは呼び捨てでいいぞ。えと…お前は確かツヨシだったか?」
「うん。あのさ、ボレアスさ…ボレアス。和彦の居場所を知ってなにをするつもりなの?
そもそも…どこで和彦のことを知ったの?」
ボレアスは強志の質問に、一切の迷いなく即答した。
「そんなん決まってるだろ。アイツに直接強さの秘密を聞く。それだけだ。
それと、カズヒコを知ったのはついこの間だ。一度戦ったんだが…腕に自信のある俺でも完敗したぜ。だが、負けたからこそアイツの強さの理由が気になってな。男の本能ってヤツだよ。ただ、強くありたいと思い続ける、な。だから俺はここを通ったヤツ全員に話しかけたぜ。」
「腕に自信があるのは、勝てそうな相手だけを選んで襲ってたからとかじゃないんですか?」
ジアの冷たいツッコミに、一瞬だけボレアスは目を泳がせた。
確かに自分より遥かに強い敵と戦闘になれば負けるのは当たり前なのだから、当然と言えば当然なのだろう。
「お、おう…案外、痛いトコついてくるじゃねぇか…確かにそうだけどよ…おっと、話が逸れたぜ。さっきも言ったけどよ、カズヒコの場所、教えてくれねぇか?」
「じゃあ…一緒に来ませんか?」
「あ?いいのか?」
「ちょっと、ツヨシ君、コイツが僕達を襲ってこないとは限らないんだよ!?」
「そうですね…本人の前で言うのは失礼ですが、確かにヘクセさんの仰る通りです…」
盗賊である危険性を考えずにそう発言した強志に、ヘクセとサクロが反対する。
「大丈夫だよ。何かあってもロックんがいるからね!それに、教えるっていったって和彦が動かないとは限らないし、僕達なら[モストラリング]があるでしょ?」
「うぐっ…はぁ、わかったよツヨシ君。だけど、なにかあったら君の責任だよ。」
「うん、分かってる!」
「おお?俺、入れるっぽい?ありがとな、ツヨシ、皆!これからヨロシクな!」




