ヘクセの真実
「あれ…?」
「…テヘッ☆失敗してロックゴーレムの目の前に出てしまいました!」
「いやいや、テヘッ☆じゃないから……距離を取って武器を構えて!」
強志がそう言うと全員後退し、ロックゴーレムから距離をとった。
「ターゲットヲ、カクニン。タダチニ、ハイジョシマス。」
「しゃ、喋った!?」
今までのモンスターとは違い、話しかけてきたゴーレムに既に見たことのあるジア以外の全員が驚く。
「【フリップロック】」
ロックゴーレムの表面にあるごつごつとした岩が砕け、ヘクセをめがけて飛んでいった。
「おわっ!?」
突然の攻撃にギリギリ反応したが、手にかすり傷を負ってしまった。その際に飛び散った血液を見たロックゴーレムは誰にも予想することのできないような言葉を発した。
「…『アークデーモンの血液』ヲカクニン。セントウヲタダチニテイシシマス。」
「…は?」
「へ?」
その場にいた全員…もちろんヘクセも含めて、誰もが凍りついたように呆気にとられていた。
「…ん?え?アーク…デーモン…?僕が…?ってかなんで急に…?」
「はい、マスター。」
「急に普通に喋り出したな。」
「そうですね…」
突然普通に話し始めたことに驚いていたが、しばらくすると何よりも気になる疑問を思い出した。
「ね、ねえ君さぁ…僕の事…正確に言えば僕の血の事だけど『アークデーモン』って言ったよね。」
「はい。何かご不満がありましたでしょうか。」
「不満はないけど…僕は見ての通り人間。何故太古に絶滅したはずの種族
『アークデーモン』だと思ったんだい?」
ヘクセの質問に対し、素早く答えるゴーレム。
「貴方はアークデーモンの魂が宿る…転生者というものです。よって、血液にアークデーモンの成分が…」
などとよくわからない話をするゴーレム。
「えぇと…要約すると、君が言いたい事はこうだね?
僕の前世はアークデーモン。
君はアークデーモンの血を持つ者をマスターとしている。
最後に君に命令したのはアークデーモン…かな?」
見事に要点だけをまとめるヘクセ。
「でもなんでアークデーモンが…?」
「それは私にもわかりません…」
「というかヘクセ、なんだかすごいね…」
「転生者だか…おらもそういうの憧れるだよ…ちょっと格好いいだ。」
「あの~…とりあえずジアが村まで案内するので歩きながらゴーレムさんと話しません?」
「それもそうだな…なんだか俺、もうサッパリ話について行けないわ。」




