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旅する鍛冶師と勇者たち。  作者: バドライ
31/70

空と落下と雀。

できたら今日の夜にもう1話投稿します。

「ゼェ…ハァ…カズヒコ君…あとどのくらいでつくんだい…?」


「知るか。」


―5分後―


「あとどのくらいでつくんだい…?」


「知るか。」


―10分後―


「あとどのくらいでつくんだい…?」


何度も同じ質問を繰り返すヘクセに和彦はブチッという音が聞こえるくらいキレた。


「そうか。そんなにお前は距離が気になるのか。」

「ハァ…やっとわかって――」

「なら、お前が見てこい。――空からな。」

「え――」


ボコッ!という音がしたと思うと、ヘクセが消えていた。


「あれ?和彦、ヘクセは?」

「今頃優雅にスカイダイブだ。」

「へ?」


和彦が空を見上げたので、嫌な予感がする…と思いながら空を見上げると


「うわあああぁぁぁぁっ!?」

「どうだ?よく見えるだろ?」

「あちゃー…」


上空にいるヘクセを見た時、一瞬にして状況を理解した。




サクロに回復してもらっているヘクセは魂がどこかに行ってしまったかのようにただ無表情でボーッとしている。

やがて口を開くヘクセ。


「あんまりだ…」

「しつこい。またスカイダイブでもするか?」

「ごめんなさいもうしませんすいませんでした。」

「ヘクセ、あとどのくらいだったか見てたか?」

「そこはバッチリ。」


何故か自慢気にジェイマーを見てドヤ顔とグッジョブをしてくるヘクセ。


「大体登ってきたから今日中には登りきれると思うよ。…もうスカイダイブはしないからね。」

「礼には及ばん。」

「いや言ってないけど。」

「おらも疲れたがら、ヘクセが治るまでちょっとここで休むだ。」

「そうだな。俺も少し休むわ。」


そう言うと、2人は座り込んだ。



やがてヘクセの治療が終わり、山登りを再開する5人。


「チュン!チュン!」


聞き覚えのある声に反応した強志と和彦。


「この声は一体何の動物の声ですか?」


サクロの質問に答えたのは和彦だった。


「エッドーの里付近にしか生息しない(すずめ)だ。」

「おら、ちょっと見てみたいだ!」

「おい、少し待て――」


和彦の言葉を無視して走り出したカインは、何者かに突進された。


「おわっ!?」

「ハァ…話を聞け。ここには雀もいるが、好戦的な(おお)(すずめ)だ。

スライムに翼が付いたような奴だが、空を飛ぶ事ができるだけで十分厄介だ。…さらにアイツらは群れで来る。」


「チュン!」


かわいらしい声とは裏腹に、凄まじい速度の突進が来る。


カインはすかさず盾で地面に叩きつけるが、まだ6羽もいる。


「チュンッ!」


3羽が同時に和彦へと突進する。

しかし、ヒラリと避けた和彦は抜刀せずに地面に叩きつけた。


「カ、カズヒコ!何で斬らないんだよ!」

「…から。」

「は?」

「美味いからだ!貴重な美味いもんを無駄にできるか!」


その言葉を聞いたジェイマーは目を見開く。


「お前…それは本当なのか…?」

「ああ。すごく美味い。」

「…わかったぜ!おれも食いたい!ここは1人1羽食えるように全羽叩きのめすぞ!」

「もちろん!」

「わかっただ!」

「はい!」

「オッケー!」


…『美味い』という言葉だけで、このパーティーのやる気はみなぎるらしい。

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