転生したけど森の中
僕の名は鍛治野強志。
この日はとても運が悪かった。
中学の下校中に不良にからまれ、
43点のテストが見つかり父に説教され、
見たいテレビアニメは野球の試合が長くなったため今週は放送しないという事だ。
暇になり、ベットに座ってオンラインゲームでもしようとした時、その日最悪の出来事が起きた。
ベットの少し手前に座ってしまい、尻餅をつく。それだけでは終わらず
角に頭を強くぶつけ、そこで僕の意識は飛んだ。
ふと、意識が戻る。周囲からは土の匂いや温かい日差しが差している。
「…ん?」
僕は死んだのか?
「…え」
見渡すと、周囲には生い茂る木々、様々な低木。
そう。そこは森だった。
混乱している事に気づくと一度木陰に入り落ち着こうとして状況を整理する。
――まず、僕はベットの角に頭をぶつけて意識が飛んだ…
はずなのに頭を触っても痛くも痒くもない。
ただ、小説やゲームが好きな強志はあってほしいと思う事が一つあった。
「異世界転生!?」
淡い期待を込めて強志はそう叫ぶ。
お決まりのステータスがあれば確定だと思い囁く。
「ステータス」
…なにも起こらない。
すこしガッカリしつつも、他に方法があるかもしれないと思い、まずは森を出ることを
第一に考えた強志だった。