目的と手掛かり
屋台にいた3人を見つけるとサクロが
「そろそろ宿屋に戻りませんか?」
と声をかけたので、串焼き肉を買ってから戻った。
「なあ、皆は次にどこ行きたい?」
部屋について最初の一言はそれだった。
「あ!僕、行きたい所はないけど目的ができたんだ!」
「目的ってなんだ?」
「本来いないはずの魔物が出現する現象の原因を解明して、できたら解決することと、店を開くこと。」
「本来いないはずの魔物…というと今回のファイアベアのようなモンスターかい?」
ヘクセが少し難しい顔をしながら質問をしてきた。
「うん。理由は…ちょっと話せないけどまぁ、色々あって…
あ、お店は旅の途中でいい所があったらそこに建てて住む感じで。まぁ、そうなるとまた別れちゃうけどね。」
「理由は話して頂けないのですか?」
「ちょっと無理があるかな…」
「そうですか…」
「おらは全力で手伝うだよ!」
「ありがとうカイン!ジェイマー、話の途中で邪魔してごめんね。もういいよ!」
「オッケー。話を戻すけどよ、皆は行きたいところあるか?」
「僕はないね…」
「おらもないだぁ。」
「私はツヨシさんの目的を手伝いたいなと…個人的には行きたいところはないのですが…」
「僕もないかな…というかほとんどの場所知らないし。サクロ、ありがと!」
「…となるとどうするか…そうだ。さっき市場に来ていた人から聞いた話なんだが、
この間、近くのテケ村でナイトメアドラゴンというドラゴンが確認されたらしい。名前の通り、悪魔のようなドラゴンだとか…だが、本来そこには生息しておらず、主に魔人族の領地で目撃されるドラゴンらしい。村にはあまり戦える人はいないらしく、数も少ないから万が一を考えると手を出せない状況らしいぞ。
この話を聞いたからには放っておけないだろ?なにか手掛かりになるかもしれないし、俺達で討伐しようぜ。」
ヘクセの顔が若干ひきつる。
「いやいや…相手はドラゴンだよ?さすがにやばいって。」
「…僕、できるかも。」
「ツヨシさん、それはどういう事ですか?」
「おらもちょっと聞いてみたいだぁ。」
「鍛治の修行をしていた時、ドラゴンの解体についても学んだんだ。だから柔らかい部分…つまり弱点もわかる。」
「そうか…!それが分かればうまくいくかもしれねぇ!」
「で、でもさぁ?ドラゴンの中でも強くて、生き延びたとしてもあまりの恐ろしさに毎晩ドラゴンに襲われる悪夢をみるようなやつだよ?」
(ふむふむヘクセ君、君の考えていることはわかったよ!)
「なになに、ヘクセもしかして怖いの~?」
「い、いや。僕が怖がるものなんてあんまりないよ。ドラゴンは怖くない…多分。」
「なんだよヘクセ、怖くないならいいだろ!明日出発な!」
「なっ…」
どうやら強がったのが裏目に出たようだ。
「でぇじょぶだよヘクセ、おらが盾で守ってやら。」
「ア、アハハ…ナンデコーナッタンダローネ。」
「ドンマイです!頑張りましょう!」
「まぁヘクセ、前衛は俺とツヨシでやるからよ!」
「え!?僕!?」
「そう!俺とツヨシ!」
「ま、まあ後ろにサクロがいるから安心だけど…」
「回復は任せてください!」
「よし!いいか、よく聞け。
俺とツヨシが前にでて戦うから、
サクロは回復や補助。
ヘクセは遠距離から魔法攻撃。
カインはその2人を守ってくれ!
そんじゃ、今日はもう自由にしていいからな!一応解散!」
そのころ、神界ではカナゴが強志達の事を見ていた。
「ふむふむ…面白くなってきたじゃないの。」
「おーいカナゴ!新人の為に新しい世界作るから手伝ってくれ!」
「はいは~い、今行きます~!」




