(多分ちゃんとした)女神ちゃん
「さてさて…今度こそ本題に入ろうかな…」
「あの、その前にあなたの名前は…?」
「ああ、言い忘れていたね。僕はカナゴ。名前だけ聞くと男性だと思われやすいけど、ちゃんと女神だよ。」
「ところでカナゴさん、その本題というのは?」
「そうそう。その本題というのはだね…君には鍛冶師として店を開いてほしい。」
「…はい?」
「いや、だから…」
「あ、あの…僕が店を開いてどうすればよいのでしょうか?それになぜ店を?」
「う~ん…まず、君をこの世界に転生させた理由から話そうかな…
君のご先祖様ね、天目一箇神様という鍛治の神様なのね。」
「えっ!?」
「まぁ、驚くのも無理はないけどまだ話は続くよ。
最近、こっちの世界で本来その場所にいない魔物が出てくる異常事態が起きてるんだよ。
簡単にいうと、A村の近くにいるはずの魔物が、B村の近くで目撃された…という感じだね。
弱い魔物なら特に害はないが、これが強い魔物だったら?もちろん、とてつもない被害がでる所もある。
それを防ぐためには、強志君、いや、天目一箇神様の力で強い装備を世の中に出回るようにしないといけないんだ。人々の戦闘経験は必要だけど、弱い装備じゃまともに戦えないからね。」
「少し待ってください。その、なぜ僕がその天目一箇神様なのですか?」
「う~む…君の守護霊として憑いてる。話はできないけど、気配でわかるよ…そのくらいすごいお方なんだ…」
「は、はあ。」
「と、とにかくだね!突然だが、君には店を開いて強い武器を世の中に出回るようにしてほしい!あと、できればついでに魔物の事も調べてほしい!」
「僕でよければ…どちらかというとのんびり暮らす方が楽しいですし…」
カナゴというらしい女神は目を輝かせて
「本当かい!?」
と聞いて来たのでこれには断る理由も勇気もなく
「は、はい!」
と答えてしまった。
「そうかぁ…助かるよ。一気に色々話したから混乱させちゃったかな?
簡単に言うと、すごい鍛治の神様の子孫だから、この世界の異常事態に対応できるような武器を作ってほしいって事!」
「わかりました。あ、でも店は…」
「それならこれを持っていくといいよ。お金入ってるから。」
「え!?いいんですか?」
「いいのいいの。神は世界を変えてしまうような大事にならない限り直接問題を解決してはいけないってルールがあるから神界からは基本的に出れないし…まだまだお金なら持ってるから。」
「な、ならありがたく頂きます」
「うんうん、素直でよろしい。余ったお金は材料とかに使いなよ。あと、なにか困ったらまた教会で祈ればここに呼ぶからね。」
「はい!」
その時、足元が光りだした。
「そろそろ時間っぽいね。今回はちゃんとした方法で会えたから長い間話せたよ…それじゃ。」
「わかりました、やれるだけやりますね。」
視界が真っ白になり、気付いたら教会に戻っていた。
(あれ?さっきの魔人らしき人だ。時間が戻った?…いや、違うか。時間が止まってたんだ。…多分。さっきの事は言っても信じてもらえないだろうし言わないでおくか…)
「ただいま終わりました。」
杖を清め終わったサクロが戻ってきた。
「それじゃ、ジェイマー達を探しに行く?」
「そうですね。行きましょう!」
教会を出た2人は、市場へと歩いて行った。
ちなみに「天目一箇神」様は実在します。カナゴもある女神様が名前の由来です。




