杖を清めよ!
宿屋に戻ると、全員が起きていた。
「お、帰ってきた。」
「お帰りなさい!」
「何してただか?」
「ツヨシが皆へのプレゼントを作ってたんだよ。」
「ちょ!それは内緒にしてって言ったじゃん!」
「あれ、そうだったけ?」
「…ジェイマーらしいよ…本当に君は記憶力が…」
ヘクセが苦笑しながら言うと、他の皆も苦笑する。
「お、お前らなぁ…」
「ま、まあまあ。まだ肝心の僕が作った物はいってないでしょ!」
強志は[ストレージ]から剣や杖、斧と盾を取り出す。
「これが今の僕にできる最高傑作だよ!…まぁ、安い鉄鉱石しか使ってないけど。」
それをみた3人は…
「す、すごいだぁ!おらこんな斧使ってみたかっただぁ!しかも盾まで!感謝してもしきれないだぁよ!」
「こ、この杖…先端に魔力が集中するように作られてる…これ、普通に買ったら結構するよね…」
「私の杖まで…!こんなに良い物を貰っても宜しいのでしょうか…!」
喜ぶサクロに1つ言い忘れていた事を言う。
「あ、サクロ!それはまだ教会の聖水で清めていないからね!後で清めてね!」
そう。サクロは教会で清められた[神聖杖]という武器を使用しているのだ。
ウィリアさんから聞いた話によれば神聖杖は回復、補助魔法の効果をあげる変わりに攻撃魔法の威力が減ってしまうという不思議な力があるという。
「わかりました!後でいきましょう!!」
「さて、最後はジェイマーだよ。ほいっ」
「おぉ~、俺の剣格好いい!さすがだぜ!」
ジェイマーの剣は特別に銀も使用した。少し余ってたやつ、というのは内緒だけど。
「もっと褒めてもいいんだよ!」
胸を張ってそう言ったが…
シーン…
気まずい空気が部屋に満ちた。
「…さーせん、冗談っす…」
「プッ!」
ヘクセがこらえきれなくなり笑い出した。
「ハハハ!こっちもわざとシーンとしてたんだよ!やっばおもしろ!クク…ハハハハ!」
「ちょ…笑うなよ…プッ…こ、こっちも…ププッ…笑うだろ…」
「なんだ…わざとか…きまずい空気苦手だから若干焦った…」
「あの…そんなことよりそろそろ清めに行きませんか?」
「あ、そうだった…僕は付いていくけど、皆は?」
「おら、この村の食べ物とかみてみたいだぁ…」
「俺は教会の雰囲気が苦手だからパス」
「僕も苦手だからパス」
僕とサクロ以外全員が教会に行かないので、2人で行くことになった。
「教会ってなんだか落ち着くなぁ…」
「そうですね…私はなにか悩んだりした時などによく訪れます。それでは、私は清めに行くので…」
「わかった。僕はここの椅子に座って待ってるね。」
(あれ?むこうにあきらかに角が生えてる人いるけど…多分魔人族だけど大丈夫なん?)
そんなことを考えながらサクロが武器を清めながら何か祈っている姿をみていた時、ふと思い出した。
(そういえばこの間、夢で女神だって言っていた人がいたけど…あれって、本当に夢だったのかな。)
冗談半分で彼女の事を思い浮かべながら目を閉じた。
すると、突然座っていたはずの椅子が無くなり、腰を地面に強く打ちつけてしまった。
「あちゃー、座ってたかぁ。」
一度だけ聞いたことのある声がしたので、(まさか本当にできるなんて…)と思いつつ目を開けた。
「やあ、大体半日ぶりだね。」
「おうふ…何となくノリでやっただけなんだけどなぁ…」




