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旅する鍛冶師と勇者たち。  作者: バドライ
13/70

ナイフ作り体験

出来る限り1日1話以上のペースで投稿します。

扉を開けると、そこには誰もいなかった。


「すいません、どなたかいらっしゃいますか?」


強志の声に反応した店員が出てくる。


「らっしゃい。武器と防具、どちらをお求めで?」

「鍛冶師になりたいのですが…」


しばらく沈黙する。


「…今、何と?」

「鍛冶師になりたいです!」


すると店員はニヤッとした笑みを浮かべる。


「そうかそうか!鍛冶師になりてぇのか!なら、ちょっとこっち来い。」


急激に態度が変わった店員を追うと、会議室へ連れて行かれた。


「…さて、早速本題から入ろう。お前、鍛冶師になりたいってのは本当か?」

「…?はい。」


「冒険者になれば、命の危険は伴うがそれでも強ければ有名になれるぞ?」

「僕はあまり戦闘が得意ではないので…それに、とある冒険者の友達がいて、鍛冶師になったらその友達の武器や防具を作ってサポートできるかな…なんて思ったりしてて…」


「プッ…フハハハ!いいじゃねえか坊主!やる気はあるようだな!そんじゃ、まずは腕試しと行こうじゃねぇか。」

「一体何を…?」

「簡単だ。『ナイフ作り体験コース』をやるだけだよ。もちろん、作ったナイフはタダで持って行っていいぜ。だが、上手さ次第で弟子にするかは変わるがな。」


「…もちろん教えて頂けますよね?」

「あたりめぇだろ…そんじゃ、こっちだ。」


店員にまたついていくと、今度は炉があり、そこでイカツイ顔をしたおじさんが鍛治をしていた。


「ウィリアさん、コイツ、鍛冶師になりたいらしいっすよ。」

え、この人がウィリアさん!?じゃ、じゃあ店員さんは一体?

鍛治野強志(かじのつよし)と申します。」

「…」

「…?」

「…」。

何故かウィリアさんと呼ばれていた男性が反応しない。


「坊主、忘れてたぜ。ウィリアさんは人見知りなんだ…しばらくすれば慣れるから…すまねぇな。」


と、店員さんに耳元で呟かれた。

その直後。


「ウッ…」


真顔だったウィリアさんが急に涙を流し始めた。


「ど、どうされました!?」


何かやらかしたのかと思い、慌てる。


「久しぶりに鍛冶師になりたいってやつが来てくれて…俺は幸せ者だ…」

「は、はあ。」


そんなに鍛冶師は少ないのだろうか。…まぁ、周りには店員さんとウィリアさんしかいないけど。


「あれ、ウィリアさん人見知りなのに喋ってるじゃないっすか!?」

「…なぜか話しにくくない…ツヨシ…と言ったかな。ナイフ作り教えてあげるからこっちにきなさい…」


ボソボソと喋っているが、声は大きいのでなんとなく聞き取れる。


「あ、はい!」

「ディアはさぼらないでちゃんと店番しておいて…」

「うっす…」


少々ガッカリしながらも承諾する。というか、ディアって名前なんだな。


「それじゃ、始めるよ。」

「は、はい!」


「ここを薄くして、ここを少し厚く。」

「はい!」


「ここがでこぼこしている!もっとよく見ろ!」

「はい!」


「あとは気合で叩けェッ!」

「はいっ!」


…どうやら、ウィリアさんは鍛治に集中するとキャラが変わる珍しいタイプの人のようだ。


「あとは水につけて…」

「はい!」


ジュウウゥゥ…


[ナイフ]が完成した。


「うん…なかなかうまいね…君…」

「ほ、本当ですか!?」

「完璧とまではいかなくても、磨けば光るものがありそうだよ…」

「という事は…!」

「…うん、合格。」

「やったぁーっ!!」


その声は店番をしているディアにも届き、ディアは何が起きたかを察した。

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