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王の間


「今回の戦いで大きな功績を上げた。ユン・カイリ前へ」

「ハ」

王様の所へ、

メガネも黒、ショートカットの髪も黒、軍服に付いているマントも黒、

そして、翼も黒の女が堂々と歩く。


「誰だあれは?」

「ここ最近、力を付けて来たドラゴン族だ。」

「ほぉ~。あれが噂の」

こそこそ、大臣達が話をしていた。


「そなたの功績を認め、将軍に任命する。

 今後は、第505軍団の指揮をとれ」

「ありがたき幸せ」

片膝を地面に付けて一礼した。


「そして、もう1つ褒美がある。我が息子ダルダルとの結婚をせよ。」

「おお!!本当か。羨ましい」

周りがザワザワざわついた。


「王は将来有望なドラゴン族を引き込んで、王室の力を強めようとしてんだな」

守備派、トカゲ族の族長、サンダ。

首が異常に長いトカゲの顔をした男が言った。


「ああ。これで派閥争いが激しくなるな。」

守備派、鬼族、ダルン鬼。

4つの目を持つ鬼が言った。


カイリは王の方を見た。

「お断りします。」

場が一瞬、氷つく状態になった。

そして、一気に熱くなった。


「死にたいのか。王様の命令は絶対だ。断るとは何事か」

「そうだそうだ。」

「オマエだけでなく、一族も処刑されるんだぞ」

周りから怒号が飛び交った。


「余の決定を断るとは良い度胸だ。余が命令すれば直ぐに死ぬのだ。」

「100%死にません。」

きっぱりと否定するカイリ


「なぜそう言い切る」

「3つの理由があるからです。」

「言ってみよ」

「1つ目は。ダルダル王子と私を結婚するより、他国の王女と結婚すれば、強い同盟国になります。

 他にも戦争だけでなく、武器、経済などの分野で非常にメリットが多いからです。」


「2つ目は。もし、手柄を立てた私を処刑すれば、苦しい思いをして戦った兵士達は、

 頑張っても意味が無いとやる気を失い、今後の戦いで負ける可能性が大きくなります。

 そして、無理やり戦わせると不満が高まり。各地で反乱がおき。このエルダ国は消滅します。」


「なんとだいそれた事を」

周りから野次が飛ぶ。


「そして、3つ目は」

周りの声を無視して話すカイリ。


「心に決めた者がいます。今回の戦いが終わったら結婚をすると約束しました。

 もし、邪魔をするのなら誰であろうと、斬る」

腰にある剣の鞘に手をかけて、殺気を放った。


「ご、護衛兵、守れ、守れ守れ守れ 余を」

直ぐに王様を守るように、重装備の盾と鎧を着た護衛のゴブリン達が現れた。


「王様。我々ゴブリン親衛隊にお任せを」

「おお。頼んだぞ。ソブリン隊長」

「ハ」

5メートルはある大きなゴブリンが言った。


「少し手柄を上げたからと言って、いい気になりおって。

 手柄を取れたのは俺様がいなかったからだ。俺様がいれば余裕で敵将を倒したぞ。」

「・・・・・」


「怖くなって何も言えなくなったようだな。だがもう遅い。王様に楯突いた罰だ。」

何も言わないカイリに勝ち誇るソブリン隊長。


「アイツを捕らえよ」

「おおお!!!」

ゴブリン達が一斉に攻撃を開始した。


「スロウジョン」

カイリは呟いた。


すると


「おぅ、おぅ、おぅ、おぅ、おぅ、おぅ、おぅ、おおおおおお~」

ゴブリン達は、順番にドレミファソラシドの音階で悲鳴を上げ、自分の股間を押さえて悶絶した。


「最後の音がイマイチだったなぁ」

最後に悲鳴を上げたソブリン隊長は、ドスンと倒れて泡を吹いた。


「!!!!!!!」

何が起きたのか解らず、驚愕する周りの人たち。


「王様」

「!! 何だ」

口と目を大きく開いてあっけにとられた王様は、恐怖心を抑えて威厳の顔を作った。


「結婚の話ですが、冗談ですよね。」

ニコリと目が笑っていない顔するカイリ。


「それは・・・オッホン。まずは相手の名は?」

「モグ族のカツです。」

「モグ族?」

王様の隣にいた狸の顔に立派な青い髭をした宰相に聞いた。


「最低ランクC1の種族で、穴を掘るのが得意です。主にダンジョンを開発する仕事をしています。

 なので、ドラゴン族と結びついても何ら影響はありません。

 それに、カイリ殿の言い分にも一理あります。

 なにより、王様の命令を無視するじゃじゃ馬より、順応な者を引き込んだ方がよろしいかと。

 今回は引き下がって、結婚を祝福してあげましょう。」

王様だけに聞こえる声で助言をした。


「そなたが結婚するとは知らなかったのだ。良かれと思って提案をしたのだ。許せ。

 その代わり、結婚式の費用など余が払ってやる。盛大に祝ってやるぞ」

「誠にありがとうございます。王様」

片膝を付いて礼を言うカイリ。


「よし。戻れ。」

「は」

起き上がり、一礼して自分の場所に戻った。

カイリの顔は険しい表情をしていた。

周りの者は、ビクビクしていた。


カイリは考え事をしていた。

(私のバカバカバカ。どうしよう。何であんなウソついたんだろう。

 王様に嫌われるし、今日は何て日なの。最悪~~~~。

 何より、なんでアイツと結婚しないといけないの。もうヤダ~~~~~~)


(あ、そうだ!! 結婚した後すぐに離婚すれば何も問題ない。

 そうだ。そうしよう。私って天才~~~~~(^3^)/)

にやつくカイリを見て、周りの者は恐怖を抱いた。


遠くから、カイリを見つめるフードを被った男がいた。



数ヶ月前


何もない平らな洞窟。

モグラ男のカツが、ダンジョンを開発しようとしていた。


青い丸い玉に触れると、正面にスクリーンが表示された。

ダンジョンに必要な物の一覧が表示された。

イラストやコストなどが書かれていた。


「ふーん。色々あるな。罠とか豊富だし、宝箱もある。」

「おお!! モンスター発生機って何だ?」


丸い円の中に、カタカナで「モ」と書かれた絵が表示されていた。

その下に、説明が書かれていた。


○モンスター発生機


 購入金額:100G~

 運用費:10G~

 出てくる間隔:1秒~ランダム

 モンスター1匹の金額:1G~

 

 説明

  ・一定の間隔でモンスターが出現する。

   LVが上がる毎にモンスターのLVもアップするが、金額も増える。


「面白そうだな。モンスター発生機にしよう。」

ポチッと押した。


スクリーンに【どこに置きますか?】と書いていた。


そして、横に4マスABCD、縦に4マス1234と正方形の地図が表示された。

現在地は、A1のマスが赤く点滅していた。


(う~ん。どこに置こうかな。入り口だと壊されて、

 モンスターが出現されなくなるから、後ろの方がいいな。)


「よし、B1に置こう」

丸い玉を触れて、B1を選択した。


【設定をして下さい】

 ・出てくる間隔

 ・出てくるモンスターのレベル


とメッセージが表示された。


(どれくらいがいいのかな?1分ぐらいで良いか。

 後は、モンスターのレベルだな。もちろんMAXにしよう。

 なぜなら、俺は弱いからだ。部下に強いモンスターが入れば最強だな。)


「間隔は1分。モンスターのレベルは、MAX」

を選択した。


「ブーブー」

スクリーンが赤くなり、サイレンの音が鳴った。


「何でだ?」

よ~~~くスクリーンを見るカツ。


「あ、そうか。持っているゴールドが足りないからか。」

合計金額が、自分が持っている1万ゴールドより高いのが原因だった。


スクリーンの右上に、自分が持っているゴールドが1万と表示されていた。


(金額を少なくするために、2つの方法が考えられるな。

 ①レベルの低いモンスターを多くする

 ②レベルの高いモンスターを少なくする。

 

 ①だと、数で敵を圧倒する事が出来るが、範囲系の攻撃や魔法に弱い

 ②だと、敵の数が少ない時には強いが、多い場合に倒されやすい。

     囮を使って突破されたら、俺が死んでしまうかもしれない。)


(う~ん。難しい。もっと安く出来ないのかな。)

選択肢をいじっていると。


「おお!!これ良いんじゃないか」

選択肢をスクロールすると一番下に【ランダム】と書かれていた。


(ランダムにすれば、ゴールドも100Gで安くすむ。

 とりあえず、置いてみて、ダメだったら変えればいいか。

 よし決めた。)


「間隔、モンスターのレベルをランダム」

すると、B1のエリアにモンスター発生機が出現した。


「すげぇーーーー!!」

初めてみたので、感動するカツ。


「ワクワク。どんなモンスターが現れるかな。

 強い奴来い。強い奴来い」

目をつぶって祈るカツ。


ピカッとモンスター発生機が光った。


「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・」

じっと見つめる。


そして、一言。


「何で、・・・・・・・・リングがあるんかい」

思わず一人でツッコミを入れてしまった。


黒いリングが、ポッ~~~ンと置いてあった。


「これのどこが、モンスターなんだ?

 もしかして、急に動き出したりして」


地面にあった小石をリングに投げた。

命中したが何も起こらなかった。


今度は、リングをちょんちょんと少し触ってみたが、何も起こらなかった。


「なーんだ。心配して損した。」

黒いリングを持って眺めた。


「なんだろう?このリング。ゲームみたいに装備すると何か特別な力が宿るのかな?」

リングを左手首に付けてみた。


「ニョホホホ」

辺りを見渡すカツ。


「こっちだぴょ~~~ん」

「どこだ。どこにいる」

また、キョロキョロ見る。


「まさか!!」

カツはリングを見た。


「ピンポーン!!大当たり!!!!」

「お、お前は誰だ」

怯える声でリングに話しかけた。


「さぁ。誰でしょ。ニョホホホ」

「気味が悪いな。外そう」

リングを外そうとしたが、どんなに力を入れても外れなかった。


「はぁはぁはぁ。外れない」

「外れないぴょ~~~~ん。でも外す方法もあるのだ」

「それは何だ?」

「死んだら外れるのだ。別名、死のリングって言われてる。ニョホホホ」

「死のリング!!」

「付けた者は必ず死んでしまう呪いのアイテム。今回はどれくらい持つかな。楽しみなのだ。ニョホホホ」

「くそぉーーー。俺はなんてついてないんだ。」

片ひざを地面に付けて、拳で地面を殴った。


「不安だろ。怖いだろ。ニョホホホ。もっと落ち込め。」

死のリングがカツの不安を煽った。


「うぅぅぅ」

頭を抱えて苦しむカツ。


「お前は死ぬ。お前は死ぬ」

死のリングがさらに追い討ちをかけて来た。


「だぁーーーーーーーー!!!」

ダンジョンに木霊す。大きな声を出した。


「オニョ?」

死のリングは困惑した。


「俺は1回死んでいるんだ。2回も3回も一緒だ。

 俺はやりたい事をやる。」

さっきまで苦しんでいたのがウソの様に、はつらつとした声で言った。


「死ぬんだぞ。怖くないのか?」

「怖いに決まっている」

「なぜ。そんな元気があるのだ?」

「もう、逃げ場がないからだ。だったら、現実を受け止めて前に進むしかないと思ったら、

 気持ちが楽になったのさ」

「オニョニョ。他の者より切り替えが早いのだ」

「今は、このダンジョンを強くするために、頑張るだけだ。」


「ニョホホホ。言葉で言うのは簡単、簡単。死を前にしたらどうなるかなぁ~ ニョホホホ。」



ピカっとモンスター発生装置が光った。

「おお~~~来た来た。今度こそ凄いモンスターを」

祈るカツ。


「!!!!!!!」

カツは驚愕した。

そして、その物体に触れた。


「血だ!!」

血がどっぶりついたエルフの死体があった。


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