日本人倍増計画
人類は成熟期を迎えた。
AI、人工知能を手にし、十数年が経っていた。
第二次成長期を過ぎると、脳にAIチップを埋め込む。
すると学習することなしに地上のあらゆる知識を入手することができるのだ。
だから、いきなり英語、ドイツ語、フランス語はもちろん、
スワヒリ語、タガログ語といったすべての言語を話すことができるようになる。
このAIには知識の他に別の狙いがあった。
それは平等である。
当然、学歴など無くなった。
また、AIを通じて、他人と深い部分で通じ合うことができた。
そのためか、犯罪が激減した。
人類は理想的な社会を手に入れた。
と思われた・・・
しかし、数年後、政府は驚愕した。
人類存亡の危機・・・
出生率が著しく低下した。
0.1、絶望的な数値だった。
専門家によると、人工知能が理性作用している、と言う。
そのため、性衝動が極端に減ったということだ。
政府は緊急対策会議を開いた。
「元の社会に戻そう」
福祉厚生大臣が言った。
「無理です」
AI大臣は首を振った。
「もう学校が無くなって、5年が経ちます」
小中高の学校は無くなり、今はいきなり大学に通うのだ。
大臣、官僚らは下を俯くだけだった。
総理大臣のOは閉じていた目を開いた。
「AIチップを改良しよう。
日本人倍増計画と名付ける」
Oは自分の考えを説明した。
AIチップの改良は国を上げて行われた。
そのため、1年後に完成した。
18歳を超えたモノから、改善が加えられた。
それから、すぐに結果が出始めた。
出生率が、2.5に、が・・・
犯罪が急増した。
しかし、犯罪の増加は想定済みだった。
Oは調査を命じた。
犯罪者の脳に埋め込まれたチップが取り出された。
診断、解析され、改良された。
半年後、出生率増加に貢献した人工本能はバージョンアップされた。