道の途中3
おはようございます。
ふと違和感を感じた。この道はいつもと同じようで同じではないようだ。最近は感じることのなかった違和感である。まったく、どこの誰のいたずらだろうか。そんなもの、私にはまったく効かないというのに。
私がその場で立ち止まると、それは茂みから現れる。
黒い色をした獣は赤い目でこちらを覗き込むかのように、私のことを見ていた。
その雰囲気は獣の小さな体には噛み合わないほど、大きかった。
だがそれは一般の人間にとってのことであり、私にとっては驚異にはなり得ないものである。今後のことを考えて私はそれと向かい合った。私とそれはしばらくの間その場を動かなかった。
朝日が昇る、夜が終わる時間がやって来た。獣は私に背を向けると、森の奥へと消えていった。私は完全に姿が消えるまで、その姿を見つずけていた。
あの子が起きるその前に私は、家に着くことができた。疲れた体をそっと布団に横たえた。あの子に勧められて以来この布団は私のお気に入りだ。開けておいた窓から桜の花が舞う。
いつか、あの小さな桜も、大きな木になる時が来るのだろう。できることならば、その時あの子と、一緒に見ることができれば良い。私はそう思うのだ。
廊下からあの子の声がする、私は布団から起きだした。さて、今朝は何を作ろうか?あの子が好きなものでも作るか。私は背伸びをすると、自室の扉を開けた。