道の途中
おはようございます
私はいつもよりも早く起きる。あの子はまだ夢の中だ。いつものことではあるのだが、あの子の寝起きは悪かった。揺らしても揺らしても、起きはしない。しまいには、向こう側を向いてしまった。
しょうがないので今回も早々に諦め。私はあの子の部屋から出た。私からしたらつい最近なのだが、あの子から私の仕事にたいしての質問をされた事が何度かあった。
その時ははまだ、私の仕事のことを話すは早いと言って聞かせていたのだが、最近はあまり聞かれていない。そろそろ、話してもいい頃合いだと思っていたのだが。
それは家のすみにでも置いておくとして。私はパンをくわえながら、家の外に向かったのだった。むっ、先に行っておくが壁の角でうっかりなんてベタな事私はしていないからな。この間そのような場面がここであったようだが。
あの場面、なかなかのものだった。けれど私は遠慮しておこう、もうこの歳だからな。若者同士、甘酸っぱい思い出をたくさん作ればいい。私はきっと、それを応援するだろう。
とりとめもなく考えながらも、私は目的の場所にたどり着いた。この場所は、相変わらず湿っぽい場所だ。苔むした大木の前で私は思う。周りの木々覆われて一切光が、入ってこない場所である。
私は人間のわりに、夜目がきくほうだと親友が言っていたが、あの子にはきっとこの場所が暗すぎて見えないだろう。通常の人々には見えないように工夫されているのだから。