2 助かったけど無職の危機でした
相変わらず拙い文です。
勝てない事を悟った俺はせめて猿の顔を見なくて済むように目を瞑って自分の死を待っていた…がいつまで経っても襲われない。
(嬲り殺すつもりなのか?最悪だな…一撃で殺してくれよ…)
しかし襲われない。もしかしてただ殺したかっただけで俺が死んだと思ってどっか行ったのか?その時、目の前にドサリと何かが倒れる音がした。恐る恐る目を開けて見たら…
ーーーッ!!
猿の虚ろな目がこっちを見ていた。正確には首だけ地面に落ちている状態だ。何があったんだ?そんな疑問を抱えていると頭上から声がかかった。
「そこの兄ちゃん。大丈夫か?四腕狒々に酷くやられているようだが…まず生きてるか?」
そんな声が。てかすげぇ渋い声だな…地球でなら声フェチを虜にするぐらい良い声だぞ…とか考えてる場合じゃない!生きてる事を主張しなければ下手したら置いていかれる!今の状態だったら間違い無く死ぬ。目の前に現れた希望に縋るように声を出した。
「い…生きてます…」
「おお!そうかそうか。動けるか兄ちゃん?って聞くまでもねぇか。今治してやるから少し待ってな。」
そう言われて泣いてしまった。生きてる事、優しさに触れた事に。
「ありがと…うござ…ます」
「おう。今から回復するからな」
よかった…そう思ったら渋い声で「ハイヒール」と聞こえてきた。ハイヒール?マジで?え、やばいさっきの何倍も嬉しいかも知れない。そんな失礼な事を考えてる間に身体中の痛みが引いていくのが分かった。
「おお…う、動けます!」
「当たり前だろ、ハイヒールで治したんだからな」
そう苦笑いしている命の恩人は背中にうっすら緑と金に光るクレイモアを背負った厳ついおっちゃんだった。…やばいな。どっからどう見ても俺が居た会社の社長だ…っとまずお礼を言わなきゃな。
「助けて頂いてありがとうございます!自分如月 樹貴っていいます!」
「おう、中々気持ちの良い挨拶するじゃねぇか。助けた甲斐があったってもんだぜ。所でイツキ…だっけか?何処から来たんだ?貴族みてぇな名前だけどその服装だと違うだろうし、まずこの辺り一帯の人間じゃねぇだろ?」
鋭い眼光に一瞬背筋にひやりとした物が走ったが…異世界から来たなんて言っても信用されないしなぁ…とりあえず地球の事を省いて話すか。
「なるほど…村で仕事中に魔物に襲われてこっちに逃げて来たと。それでこの辺りに来た時に疲労で気を失って目が覚めたら四腕狒々に襲われたか…なんて言うかお前運がネェな…」
そんな憐れみと同情の目で見られて少し落ち込んだが信じてもらえて何よりだ。とりあえず俺は疑問をぶつけてみる事にした。
「あ、あははは、それはともかく疑問があるんですがいいですか?」
「おう。でもまずは移動だな。イツキもついでに来い。ハイヒール代稼いで貰わにゃならないからな!」
え"、やっぱり金取られるのか?まぁそうだよな。ラノベとかでも回復魔法とか金とるし。
「分かりました!しかし自分は村で畑仕事とかしかした事無いんですが何をしたらいいですかね?」
もちろん嘘だ。心苦しいが
「イツキはガタイもいいし力も強そうだからな。冒険者ギルド…今は討伐専門ギルドに登録したらいいだろ。そっから地道に払ってくれりゃあいい」
おおぉ!!やっぱりギルドはあるのか!興奮してきた!
「分かりました!ありがとうございます!」
「おう。それでさっきの疑問ってのはなんだ?答えられる範囲の事なら教えてやる」
そうだった。ギルドに興奮して忘れる所だった。色々聞きたい事があるがまずはなんで槍を頭に刺して致命傷の筈なのに死ななかった事をきくべきだよな。そう思い質問して見た。
「さっきの四腕狒々?って言うんですか?そいつの頭に槍を刺して貫通させたんですが死ななかったんです。なぜなんでしょうか?」
そしたらイルルクさん(さっき教えてもらった)は不思議そうな顔をしながら答えてくれた。
「そんなもん職業について無ければダメージを与える事が出来ないからに決まってるだろ。そんな事も知らないってどんだけ田舎の村に居たんだお前?」
マジか…職業とかあるのか。ん?なら俺は今はダメージ与えられなかったから無職って事か!?そ、それは嫌だぞ!?どうにかして職業に就かなければ…これも聞くか。
「どうやったら職業に就けますか!?無職は嫌なんです!」
「おおぅ…落ち着け。まず職業と生業は違うぞ?」
ん?どういう事だ?詳しく聞いてみたら職業は天性のスキルみたいな物で職業につけばステータスに補正がつく物らしい。例えばイルルクさんは俊聖戦士って職業らしく回復魔法と剣士の上位ジョブ、戦士が混ざったような物らしい。魔法剣士より強くて魔法も回復寄り見たいな感じだな。ちなみにステータスの剛力、俊敏、守護等の基本を1つ上げてからジョブ変更すると俊戦士や剛戦士などになるらしい。本当にゲーム見たいだな。油断したら死ぬけど。とりあえずは無職って言う汚名は回避出来た。
「そうですか…違うなら安心しました。あ、それと話を元に戻すんですが職業の設定はどうすればいいですか?」
「それなら討伐専門ギルドで出来るぞ。初回はタダで出来るからお前もちゃんと職業は設定しとけよ。」
「分かりました。あ、それとさっきの平原で槍を拾ったんですが普通槍なんて落ちてませんよね?」
槍とか剣とか勝手に生み出されて落ちてたら鍛冶屋が存在しなくなっちまう。ワクワクするファンタジーとしてはそれは勘弁してもらいたい。
「ああ、それはあの平原が隣国との戦争に使われるからだな。多分その時の敗残兵の武器だろ。」
そんな話をしていたらどうやら目的地に着いた見たいだ。
ピロンッ
『絶望耐性』を入手しました。
『苦痛耐性』『精神汚染耐性』のLVが上昇しました
称号 [無謀な勇者]を入手しました。
んん?なんか本格的にゲームっぽいアナウンスが…てか無謀な勇者って…
閲覧ありがとうございました