1 生きてるって思ったら会っちゃいました
相変わらず拙いです
「…ゔ…あ"ぁ"ぁ"ぁぁぁぁぁぁぁ!?」
そんな絶叫と共に俺の意識は覚醒した。
「あれ…生きてる?なんで?確かに足場踏み外して監督達がこっちを凄い引き攣った顔でで見てきたのに」
そう思いながらふと違和感を感じた。なんだ?なんで下が草?てか周りも平原とか…これはアレか、死んで死後の世界ってやつか?そう思いながら一応胸に手を当てて見る
「でも心臓動いてんだよなぁ…あ、あぁぁぁ!もしやこれはあれか!異世界転移ってやつか!?ついにラノベ展開キターー!!神様仏様ありがとうございまーーす!!」
まさかしがない独男の俺が異世界転移とか!生きてて(1回死んだかも知れないが)よかった!
「てことは魔法とか剣とか貴族とかあんのかなぁ!やっべおらワクワクすっぞ!」
テンションが上がりすぎた俺は注意力が散漫になっていたらしい。背後から近づいて来た物に気づきもしなかった。
「ガァァァァァァァァァ!!」
背後から響く咆哮に気が緩んでいた俺は反射的に前に転がり込んだ。…少し漏らしたが気にしてはいけない。
「やっべぇ…完全に気ぃ抜いてたわ。そりゃ動物もい…るわな?」
あっれー、おかしいな。地球に居た猿って手が四つもあったっけ?てか刺青いれてる猿とか絶対居ない。
「うっそだろ!?あれか?魔物ってやつか!?いや確かにワクワクするけど今は要らなかったよ!」
そんな事を思っている俺を関係無しに殺しにかかる猿の攻撃をなんとか躱していく。しかし殺し合いなどした事の無い俺は猿の攻撃を1発、モロに食らってしまった。
ブォンーーーメギッ!!
「ぐゔぁ"…くっそマジで痛てぇ…監督のグーパンより痛いのなんか無いと思っていたけど…やばいなこれ。てか本格的に死ぬかも」
何せ左腕が逆向いている。これで異世界初の魔物?に勝てと。無茶言うな!いや、頑張れば出来るはず。何もしないで無理って言うのはダメだな。死にたくないし
「何か武器になりそうな物は無いのか…って平原だもんな…せめて木でもあれば棍棒とか出来そうなんだが。ある訳ないか」
本当にここで死ぬのか?転移して多分30分(気絶してた時間は分からないが)経ってないぞ?異世界転移で死んだ人間世界最速じゃないか?はははって諦めきれるか!!何か無いか…何か!…ん?猿の後ろに何か落ちてるなアレ。槍か?なんでこんな場所に。まぁいい、あの槍でこの危機を脱しなければこっちが死ぬんだ!ぜってぇ諦めてやらねぇ!猿の隙を突いてどうにか手に入れねぇと。そう思っていたら猿が動き出した。やるしかねぇか
猿の4本の腕の内2つが左右を塞ぐ様に迫ってくる。後の2本は叩き潰す為なのか頭上に振りかぶってきやがった。となると行くのは股下からーーー
ズザァァァーーーー!!
うっし!成功した!人間死ぬ気になればある程度出来る!このまま槍を取る!
ガッ!
よし掴めた!後は槍を猿の頭に刺して生き延びてやる!
「足場屋舐めんなぁぁぁぁ!!」
シュッーーー、グチャッ!!
「ゥ"ボォア!!」
うっ、嫌な感覚だな。しかし俺も死ぬのは嫌なんだ。恨まずにせめて安らかに成仏してくれ。南無ー。…だが猿は死んで居なかった。
「はぁ!?確かに頭貫通したはずだぞ!?」
現実に猿の頭に槍は刺さっている。しかし猿は腕を振り、槍の柄を破壊した後こちら振り向く。その目はいまだ爛々とこっちを見ていた。憤怒の色を乗せて。
「嘘だろ?」
自分の顔が引き攣っていくのが分かる。もしやこの猿はアンデッドとかで聖魔法とかそんなのでしか倒せないのではないか。
そう考えたら体がガタガタと震えてきた。今の俺じゃ勝てない!武器も無くなったし何より少しもダメージを負っていない。聖魔法とかあったら試せるが今は無いし後から覚えようにもここで負けたら死ぬから結局どうしようも無いじゃないか。死んだら終わり。次は無い。そう考えてしまったら自然と体が震えてしまっていた。それはもちろん隙となる訳でーーー
「ヴゥギャァァァァァァ!!」
怒り狂った猿の渾身の蹴りが俺の腹にぶち当たった。
「ガッ!!ーーハァ"ァ"…!!」
息が止まる。内蔵も幾つか逝ったかも知れない状況で目の前には多少鬱憤を晴らした顔に嗜虐的な笑みを浮かべた猿の顔が見えた。
「はっ…はっ…ちっくしょう…」
勝てない。もし武器があっても猿は死なないから殺せない。そんな事実に圧倒的なまでに心を折られた俺は自分が死ぬ未来を想像して目を瞑った…
閲覧ありがとうございました