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外部脳1  作者: 宇井2
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ドームの外へ

蟻は触角を細かく動かしながら、進んでいった。パイプの中は錆ひとつなく、上ったり下ったりしながら何時間も歩き続けた。ドームの壁が地中深くまで食い込んでいるが、その下を通って上りになったようだ。階段が作られておりここではパイプ内に錆が見え始める。ついに扉が見えた。扉も破壊が進み一部が欠けていた。蟻はそこから外へ這い出していった。エーヌが力を入れて押すと脆くなっているところが崩れた。ドームの外へ出たのだった。


すべてが真っ白だった。ドーム内では常に一定の環境に制御されているため、気候の変化というものを経験したことがない。ドームの外はただの荒廃した廃棄物だらけの世界として捉えられていた。しかし、今目の前にある世界は、雪で白一色に染まった山々の重なり、平原、銀色に輝く川、そして初めてみる薄い氷のような月が中空に張り付いていいた。見たこともない光景であった。美しいと思った。さらに何かしらすごい衝撃を体に感じる。なんと表現していいかわからない。それは寒気であったが、エーヌは寒いという言葉をしらなかった。ドーム内では薄い化学繊維のTシャツで過ごしていたが、そのままの姿で、ここに立っていた。これからどうしようと考えながら寒さのため次第に意識を失って雪の上に倒れこんだ。薄くなっていく意識の中で、ビーを連れてこなくてよかったと思った。

ビーはドームの世界で生きていくことができる。そして、現在の狂い始めたドーム内を救えるのはビー達の世代しかないからだ。ビーは自分が黙って消えてしまったことを悲しんでいるだろうか。


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