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96.『死刑執行人』/『ぼっち』
『死刑執行人』
「大したことのない話をしようか。俺は、罪深き悪人共を斬首してきた。罪人たちは、刑が執行される直前、なぜか俺を憎しみの目で睨むんだ。てめえが悪人なのによ。誰一人として、自分の罪を認める奴はいなかった。それが不思議でならねえ」
「話は済んだか、奴隷殺し」
その罪人は、斬首された。
『ぼっち』
そろそろ寝ようかという時に我が子の寝姿を見ると、布団の中で丸くなっていた。まるで、一匹で丸くなって寝ている子猫のようだ。父親は、そっと頭をなでた。
心理学者の本で読んだが、寝る時丸くなる人は寂しい思いをしているらしい。
彼も、出来れば丸くなって寝たい。二人ぼっちは寂しい。