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95.『泣き声』/『カフェ』
『泣き声』
カフェで静かに読書していると、隣に赤ん坊を連れた女性がやってきた。嫌な予感がしたが、やはり十分後に泣きだした。
困っている彼女に、私は言った。
「泣くのは赤ん坊の仕事です。私は構いませんが、他の方がどう思うかは分からないので、外であやしてきては?」
女は外へ行った。
ふう、うるさかった。
『カフェ』
原稿の執筆のため、僕は毎日のようにカフェへ通っている。その事を話すと友人は、
「もったいない。コーヒー飲むのなら家でいいじゃん」
「ダメ。家じゃ集中できないから」
「不経済な奴だな、お前は」
「それは違う。僕は、集中できる環境を金で買ってる。その結果できた原稿が売れれば、安いものさ」