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92.『時速百キロの兄』/『係決め』
『時速百キロの兄』
息子に、自分で算数の問題を作らせた。早速見てみると、
『お兄さんは、時速百キロで三分間走りました。何キロ進んだでしょう』
笑ってしまった。「時速百キロで人間が走れるわけないだろ」
すると、ムスッとした顔で答えた。
「合ってるよ。新幹線の中で走ったんだもん」
『係決め』
私の受け持つクラスで、係り決めが行われていた。
女子たちはすぐに振り分けられたが、男子共は保健係に集中していた。
病気してなくても美人先生に会える特権がある。その係りは男子女子一人ずつだから、一席を巡って口喧嘩が収まらない。
私は気がかりだ。