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90.『地球人』/『全部売った少女』
『地球人』
人類が捨てた地球に、天人が住みついた。超次元の力で都会を破壊して緑を植えていく。
そんな彼らに、学者である人間が
「ここに住めば、私達のようになる」
「そうなるつもりは無いが、もしそうなれば私達を追い出せばよい。かつて同じ過ちを繰り返した種族として」
『全部売った少女』
マッチを売る少女に出会った。何か他に付けるなら買うと答えた。
「手袋あげます」
娘がマフラーを欲しがっていたはずだ。
「マフラーあげます」
布が欲しいと言った。
「コートもあげます」彼女はブルッと震えた。
「娘が妹を欲しがってた。君が欲しい」
あげます、と少女は笑顔で答えた。