9/124
9.『男の子』/『告白』
『男の子』
百貨店を物色していたあたしは、突然見知らぬ男の子に抱きつかれた。
「見つけた、お姉ちゃん!」
「あたし、あなたの事知らないよ?」
あっ、と彼は顔を真っ赤にする。
「お姉ちゃんの所に連れて行ってあげる」
ありがとう、と手を繋ぐ。
目指すはあたしの家。そして、フフフ……。
『告白』
小学生の啓介は女の子に変装していた。そして友達の康太に近づいて、好きな子について聞きだそうとしていた。この格好でないと、なぜか恋話をしてくれない。
「俺実は――」やっと重い口を開いてくれた。
「実は啓介の事が好きなんだ。男を好きなんて変だろ?」
聞かなければ良かった。