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88.『ケチケチ』/『天国の園』
『ケチケチ』
電話を切って店内をブラブラしていると、若い男が子供に絵本を読み聞かせていた。二人ともヤンキー座りだ。
お金無いのか? 買って家で読んであげればいいのに。
僕はそっと彼らの近くに立って電話するフリをした。
「……で、僕の親は超ケチケチでー。……」本を持って離れていった。
『天国の園』
天国は入園料がかかるらしい。一時間分の金を払うと財布が空になった。ずっと入園させろと要求すると、
「生前の財産によって、天国での所持金が変わります。あなたは、転生するしかありません」
もう生きるのはこりごりだと言うと、
「分かりました。天国で働いてください。手が足りないのです」