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86.『叔父さん』/『知らない世界』

   『叔父さん』

 叔父が亡くなった。喉に食べ物を詰まらせて倒れ、誰にも気づかれることが無かった。皆、外出していた事を悔やんだ。

 遺体が自宅へ戻って来て、布団の周りに家族が集まった。生前は嫌われ者だった叔父だが、今はこうして皆が彼を見つめている。

 こんな穏やかな顔を家族に見せるのは初めてだ。




   『知らない世界』

 私は、先天性の病気でずっと入院している。

 でも、十歳の時に少しだけ小学校に通ったから、再び病院に戻っても仲良くなった子が訪ねてきて、それほど暇ではなかった。

 やがて友人は成長し、服装も格好いい服やスーツに変わった。

 受け入れられない。私の時間は、昭和で止まっている。

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