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82.『眠い』/『心調不良』
『眠い』
眠い。まだ寝たくない。
立ち上がって部屋を歩き回ってみたがクラクラする。
外に出て寒空の下を走った。帰ったら眠気が増大した。
浴槽に頭を突っ込んでみた。息が苦しくなれば睡魔は消えると思ったが、自分一人では無理そうだ。
ならば包丁で体のどこかを――。
疲れてるな。寝よう。
『心調不良』
仕事を休んだ。ただし、熱もなければどこもケガをしていない。つまり、仮病である。
「一応欠勤の連絡はしたけど、罪悪感が半端じゃないよ」すがりつく様に妻に寄り添った。
「ショッピングに行きましょ」突然、脈絡もない事を言った。
「心を休めるのも大切な事よ」
少しだけスッとした。