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8.『命』/『犠牲』
『命』
飢餓に苦しむ国があった。
「必ずやあなた方を救ってみせましょう!」姫のその神々しい姿に、人々は畏敬の念を抱く。
突然彼女が皆の前で服を脱いだ。彼らは驚いた様子で凝視する。
「さあ、ここに栄養たっぷりの肉があります。存分に召し上がりなさい!」
皆の前にナイフを放り投げる。
『犠牲』
姫が飢餓に苦しむ人々に、自らの肉を差し出そうとしていた。刃物を放る。
「無理です。そんな事をしたら皆が悲しみます」予想通りの答えが返ってきた。
「分かりました。それでは、奴隷商人にこの体を渡します。きっと末永く暮らせるでしょう」
国民の反対を押し切って、姫は国を出た。