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75.『悪魔の仕事』/『存在感』
『悪魔の仕事』
煙がボンと噴き出た。「私が悪魔だ。魂を差し出したら願いを叶えよう」
筆を置いた男は、コタツから立ち上がって言い放った。
「いい加減そのお仕事オンリーでこの世へ来るの止めてもらえませんか。俺たち作家にはもうネタの広げようが無いんです。事業の多角化も検討してください」
『存在感』
ねえ草の精霊さん、私は何の精霊なのかな。
「わっ、びっくりした! 君、まるで存在感が無いから驚いたよ。で、何の精霊かって? 記憶喪失? ……そうか。力になりたいけど、さっぱりだ。そうだ。おおい、木の精霊。この子って何の精霊?」
「空気の精霊じゃろ。いつも側にいる」