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71.『映像教師』/『男の性』
『映像教師』
あるシステムが、ようやく僕の田舎学校にも導入された。東大の出身者だという先生がスクリーンに映し出されて授業をするというものだった。昨日まで教壇に立っていた先生は、教室の後ろに新しいシステムにワクワクした顔で立っている。
先生、気づいて。クラスの皆は、先生の雑談が一番好きだって事に。
『男の性』
マンションへ帰って来ると、一階のベランダの下を漁っている男の子がいた。背格好は五歳の娘と同じくらいだ。無類の子供好きな私は声をかけてみた。
「何か探し物? おじさんも手伝おうか」
彼は顔を上げて、「唯ちゃんが、抜けた歯をこの辺に埋めたの」
気持ちは分かる。だが、父として止めねばならぬ。
『男の性』と読んでください。どちらでも意味はだいたい通じると思いますけれど。