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65.『お化け退治』/『買い物の極意』
『お化け退治』
夜更けにお化け退治の依頼が来た。歩くには遠いので、空を飛んでいく事にした。
ドアを叩くと、奥さんが顔を出した。途端に驚いた顔をする。「一週間早いですよ?」
「えっ」メモ帳を確かめるが、今日この時間で間違いなかった。
「クリスマスに、また」
やはりこの恰好は紛らわしいか。
『買い物の極意』
夫が郊外の大型書店に行くそうだ。「どうしても気になる本があって。昨日も話しただろ」そうして車で出た。
しかし、帰ってきた彼の手には車の鍵以外は何も無かった。
「売り切れ?」
「いいや。あったよ」
「じゃあ、どうしてよ」
「物欲を消す為にあえて現品とにらめっこさ。ドライブには代えられない」