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63.『繋がり』/『恋してる』
『繋がり』
高齢の祖父が、突然携帯電話をねだった。いつも元気でありがとうの気持ちを込めてプレゼントする。
電話をかける所から始めてメールは一日経って覚えたが、二日後これ壊れてるぞと携帯を投げだした。でも、異常はない。どうしたのと聞くと
「どんなに遠くへ離れていても繋がれると聞いたのだが……」
『恋してる』
孫と一緒に、もみじが綺麗な散策路を行く。犬のように走って、そのふかふかなお布団に飛び込む。手を引いて立たせてやると、
「恋してるの?」
と聞かれた。
「おじいちゃんは、もう誰かを好きになる歳じゃないからなぁ」と苦笑する。
すると「ちがうよー」ともみじの木を指さした。
「誰の事が好きなの?」