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5.『港にて』/『火葬』

     『港にて』


 夜の港。若い男が海に向かって小便していた。とても気持ちよさそうに。

「おい、何やってるんだ」

「いいじゃないか。我慢してたんだから」

「お前、余裕こいてるなぁ。誰かに見つかったらどうする?」

「ははは、それじゃ早くバラバラにした死体を捨てて帰ろうよ」




     『火葬』


 母が亡くなった。脳死判定が出たからだ。まだ死ぬには早すぎる。親孝行だって満足にできていないのに。

 葬儀が終わり、火葬場へ着いた。

「これが最後の別れです」その言葉に、一同が何度も流した涙を流す。

 燃え始めた。

 棺の中から悲鳴が聞こえてくるのは気のせいだろうか。

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