49/124
49.『魔法使い事情』/『昔の自分、今の自分』
『魔法使い事情』
箒で空を飛ぶという行為は、実は魔法の中でも特に高度な部類に入る。重力に逆らい、バランスを取り、風を読まなくてはならないからだ。
だから若い者達は考えた。楽に飛べる方法を。そこで彼女達は、パラグライダーを体に付け、魔法で見えなくし、箒にまたがった。
魔法も変革が必要なのだ。
『昔の自分、今の自分』
日差しが強い昼下がりに、娘と枕を並べて昼寝していた。五歳になるが、まだ指を吸う癖がある。そっと外してやり、額の汗を拭ってやった。
薄いカーテンが、開け放している窓から入って来る風になびいている。風鈴はまるで子守唄のようだ。
かつてロリコンだった自分よ、道を正せ。娘は可愛いぞ。