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45.『大人だって……』/『大海へ』
『大人だって……』
「子供とは何だろうな」
私に尋ねる。子供の日だからか? 一応頭をひねる。「学校に通ってる子じゃないの?」
返答しても、首をかしげるだけだ。
「俺は思うんだ。学ぶ事に終わりは無いと。皆、大人であると共に子供でもあるのだと」
「分かったけど、子供と一緒に手を出しておやつをねだるのはやめて」
『大海へ』
「鯉のぼりを上げるのはもうやめないか?」張りつめた顔で夫が言う。
「何言ってるの? 近所に気を遣わせるし、それに……」すると、表情を緩めた。
「光一はいないんだ。新たな一歩を踏み出す覚悟も必要だと僕は思う」
喧嘩寝入りしたが、翌日決心して大きな空地で燃した。
さあ、どこまでも泳いで行け。