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44.『草むらの山』/『飽きない読書』
『草むらの山』
大型連休に、家族四人で郊外の公園へやって来た。喧騒にまみれた都会と違って、体全体が洗われる清々しさだ。今は皆で草むらに寝転がって昼寝中。
ふと横の妻を見た。こんもりと盛り上がった胸が遠くの山と重なっている。軽く突いてみた。
「な、な、何!?」子ども達も起き上がる。
来年は五人で来よう。
『飽きない読書』
世間は大型連休らしいが、私はいつでも本を読む。一日のほとんどをこの部屋で過ごすのだから、時間はたっぷりある。
男性キャラの語りかけて来るセリフが、まるで彼の言葉のように思えて震える。
「そろそろ検査の時間ですよ――あ、僕が勧めた本ですね。楽しいですか?」
楽しいよ楽しいよ~。へへへ。